03 生きていくためにはお金は大事です!
優しい両親の元すくすくと育った私は現在13歳となり、
もうすぐ成人(15歳で成人)
3年前にこの世界に来てからは何不自由なく、毎日楽しく過ごしていた。
が! しかし! このままではいけないのだ!
元の世界での私はと言うと、
やはり一人っ子として両親に甘やかされて育った。
大学在学中に親の反対を押し切り婚約し、卒業後直ぐに結婚して、挙げ句、離婚し病気に。
思い出しただけでも親不幸な娘だ。
先ずは自立。
そうだ。いつかは私も結婚してこの家を出ていかねばならないのだ。
自分の力で生きていかねばならないのだ。
生きていく為にはお金は大事だ!
うん! 働こう!
決して贅沢な生活でなくてもいい。
たまに夫婦二人でお出かけして外食を楽しみ、年に1度程度近場でいいから旅行に行けるような生活。
「平凡で安定した生活」を勝ち取る為に!
そうと決まれば早速行動。
働きに行き賃金を貰うなら、
この家から出て行く?
いや、それは成人前の貴族令嬢には無理がある。
なら、自分で何かを始める?
生憎両親に甘やかされて育った私にはそんな勇気もない。
でも元はアラサーの私。
自分で働きに出ることは今はまだ出来なくても、
元の世界の記憶を元にこの世界にまだ無い物を産み出すことなら?
うん! これだわ!
これなら成人前の子供の私にだってきっと出来るはずよ!
この世界でも必要とされる何かを見つければ
きっとお金儲けになるかもしれないわ!
エレナはワクワクしながらお金を稼ぐ計画を立て始めた。
先ずは市場調査ね。
何が必要か?どんな物なら売れるか?
それを考えることから始めないと。
その日からエレナは公爵邸にいる侍女や調理場、馬屋や護衛騎士に聞き込みを始めることにした。
「ねぇ。ルーシー、こんな物があったらいいな。今こんなことに困ってるってのは何かないかしら?」
エレナ付きの侍女のルーシーに聞いて見る。
「お嬢様、何ですか? 何かあったんですか?」
「いえね。みんなが欲しがる物とかを調査してみようと思って」
(お金儲けしようと思っていることは今はまだ誰にも内緒だ。
心配性の両親にばれると反対されてしまうし)
「そうなんですかぁ。最近は手が荒れて、水仕事する度にヒリヒリするんですぅ……」
侍女のルーシーが教えてくれる。
ハンドクリームか!
この世界には傷に塗る軟膏はあるけど、
薬師様から頂く薬草を調合した物しかないわ。
しかもとても高価な物だったはず。
元の世界のハンドクリームのように
毎日手軽に塗れるクリームがあれば!
可愛い容れものにいれて、そうね、香りを混ぜたりすれば!
バラや、ラベンダーはこの世界にもある。
草花から精油を抽出し香り付けしたら!
きっと素敵!
ついでにリップクリームなんかも作れないかしら?
「ルーシーありがとう! とってもいい意見が聞けたわ!」
「お嬢様?こんなことで良かったのですか?」
「えぇ。とっても参考になったわ。ありがとう!」
「お嬢様に喜んでいただけて私も嬉しいです」
言いながら何度も深くお辞儀をして
ルーシーは去って行った。
色々考えただけでワクワクして来るわ。
せっかく神様から貰った新しい人生へのチャンス!
今度こそ!幸せをもぎとるわ!
見てなさい!
その夜、エレナは見えない敵に向かって、
ベッドに正座してシャドーボクシングをしていた。
あ。疲れた…
先ずは、寝ないと!
よし!
やってやるぞー
そのままベッドに倒れ込み、数秒で意識を手放した。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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