26 鬼神現る!
「残酷な表現が一部含まれます。苦手な方はご遠慮下さい」
「ええぃ! 邪魔だ! 邪魔だ! 退けろ! 俺が行く!」
雑木林の中、片手剣で、生い茂る草木を薙ぎ倒しながら、道なき道をズンズンと一人颯爽と進んで行く姿は、まさに鬼神のようだ。
途中、魔物が行き交うが、彼の姿を見て魔物が去って行く。
もはや、彼の姿が、後方の騎士達からは小さくなりつつあった。
───この森に来て、今日で5日目となる。
先日、小さな子供達を拐かして、裏の世界で密かに奴隷として売り捌いている窃盗団がこの森にアジトを構えているらしい。と通報を受けた。
森の中で煮炊きをしている所を目撃したと言う目撃情報があったのだ。
そして1週間前からこの森に潜伏し、今日ついにアジトを発見したのだ。
霧が立ち込めていて視界が悪く、一次待機していたのだ。
「殿下! この天候では危険です。視界が良くなるまで、暫くお待ち下さい!」と騎士達に止められたが、反対を押し切って一人アジトに向かったのだ。
───いた!
アジトの横の小川で用を足している男の姿が見えた。
後ろからすぅーっと近づき、男の首元に剣先を向ける。
ほんの一瞬の出来事だ。
「ひぃ!」男は驚愕の眼差しで、剣の持ち主を見る。
何の足音もせず、一切の気配もなく剣を向けられた。
神気を纏った、氷のように美しい美丈夫は低い声で一言「死ね」と。
その瞬間、温度が一気に冷えた。
そして、そこには川に頭を突っ込んだ男の亡骸だけがあった。
妖艶な美丈夫はそのままドアに手を掛けた。
次の瞬間、5体の死体が横たわっていた。
息をするのも忘れる程の短い時間だった。
そして泣きながら「助けてくれ!俺は何も知らなかったんだ!」「頼まれただけなんだ!」
顔をグチャグチャにしながら座り込んで訴える男。
床には水溜りが出来ている。
美丈夫は優雅に椅子に座り脚を組む。
その姿は、まるで神の降臨のようだった。
男が立ち上がり、美丈夫に襲いかかろうとした瞬間、男の腕が飛び散った。
ちょうどその時、外がザワザワする。
「殿下ご無事ございますか?」
騎士達が部屋の中に入ると、優雅にお茶を飲んでいる美男子が居た。
神気はすでにおさまり、蒸しかえるような夏の暑さが戻っていた。
「治療をしてやれ」一言、美男子が言う。
急ぎ数名の騎士が男に駆け寄る。
その後アジトに戻ってきた他のメンバーも捕縛され、森の入口付近に停めてあった馬車に乗せられる。
───「あと2日か、急いで帰れば間に合うな」
甘く麗しい声で美男子は呟いた。
そこには、いつものキラキラと輝くグレンシード王国、第一王子で王太子である、
カイン・ステファノ・グレンシードの姿だった。
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