25 モヤモヤの正体は?
ついに念願の100円ショップの開店まで1週間となった。
店の名前は『トレ・ゾール』となった。
「ガチャン!」作業中の店内に大きな音は鳴り響いた。
ハッ! イケナイ!
割れてしまったかしら?と、エレナは心配になり、小皿が10枚程入った箱の中を確認する。
「オーナー!大丈夫ですか?」音と同時に数名のスタッフが血相を変えて走って来た。
「ごめんなさいね。ちょっと手が滑ってしまって。私は何ともないわ」
「でも、割れちゃったみたいね」「折角譲っていただいたのに」
心配そうに私を見つめるスタッフに謝る。
幸い割れたのは2枚程度の皿だった。
公爵家で懇意にしている、焼き物工房の見習いの子達が、練習用に作った、曲がったり、変形したりしている陶器を、タダ同然で大量にいただいた。
形は不揃いでも、アクセサリーや、ちょっとした小物のトレーやカップとして利用出来る。
どれも同じ形の物はなく、逆に1点物!としてアピールして売り出す予定だ。
店内でもアクセサリーや、ボタンなどを入れてディスプレーしている最中の出来事だった。
割れた皿を片付けようとしていたら、主婦パート陣達に「オーナー、疲れているんですよ。今日は早めに帰ってお休み下さい」「こちらは私共が片付けておきますから」と、心配そうな顔で優しく言われた。
スタッフ全員で話し合い、私の呼び方は、店内で「お嬢様や、エレナ様」とお客様の前で呼ぶわけにはいかず「オーナー」と統一して呼ぶことになったが、未だ慣れない。
パート独女が「オーナー」なんて……不釣り合いよね……ズルしている罪悪感が再び。
なんだろう…………ここ数日なんか集中出来てないと言うか、落ち着かないと言うか
体調は万全なんだけど、どうしたものでしょう? 自問自答する。
何かスッキリしない。言葉では説明出来ない気持ちに、自分でも戸惑っている。
───そういえば、ここのところ、王太子殿下をお見かけしないわねぇ……ふと思った。
普段、心の中で彼を思う時は『キラキラ王子』と思っているのに、今日は『王太子殿下』とはっきり思ったことには、エレナは気づいてなかった……
なんとなく、頭も、ぼんやりしてきて、気怠く感じた為、みんなの好意に甘えて今日はこのまま帰宅することにした。
自宅に帰ると、執事のセバスが心配そうな面持ちで、門の前で待っていてくれた。
門をくぐると、ルーシーとメラニーも駆け寄って来た。
「お嬢様、大丈夫ですか?」「お部屋のお仕度は出来ております。早く横になって下さい」
泣きそうな顔でルーシーに言われた。
大丈夫と目で合図して、部屋に向かう。
何か胸の当たりがモヤモヤするのだ。
ルーシーに付き添われ、ベッドに入りそのまま目を閉じる。
今日は早く寝よう。きっと疲れが出たんだわ。と思い直しそのまま意識を手放した。
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