24 貧乏貴族の三男坊
突然、差し入れを持って来てくれたあの日から10日程たった。
何故か、今日もまた、キラキラ様が居るのだ。
しかもキラキラ様、首にタオルを巻いて、大工職人や棟梁の中に混ざって、釘を渡したり、ヤスリがけをしたり、雑用なようなことをしている。
いったい何をしているんだ! 王太子殿下が、ヤスリがけ?
目眩がしそうだ……。
と、思ったのは7日程前。
そう、あれから毎日キラキラ様は、やって来るのだ。
近衛騎士のヘンリー様とお二人で。
今は当たり前のように溶け込んでいる。
いや、ダメだろコレ。
最初の頃は、それとな~~く、遠まわしに、お帰り頂くように私も言っていたんだが、段々面倒になり?もとい、感謝の気持ちで?最近は放置している。
しかも、主婦の方々や、大工職人さん達にも、とても気に入られている。
堅物と有名な棟梁にまで「兄ちゃん、手伝ってくれたお礼に今度、飯奢ってやるよ!」などと言われ肩をバンバン叩かれているのだ。
最初はそのやりとりに、ギョッとしたが、今では驚かなくなっている自分が怖い……。
人間、慣れって恐ろしい、と改めて感じた。
「これ、美味しいですねぇ」「いくらでも食べれますねっ」仔犬のような目をして嬉しそうに言う。
床に座って、パートのおばちゃんが作った差し入れのサンドイッチを頬張る、未来の国王…
いいのか! これで!
平和な国バンザイ! もはや諦め……
どうして、こうなった?
何が間違えた?
服装を変え、庶民の中に囲まれていても、育ちの良さと、キラキラオーラは隠れてないが、貧乏貴族の三男坊と言う設定にしてある。 何処かで聞いたような?
「じゃぁ。そろそろ僕は帰るね」爽やかにみんなに挨拶して、今日もキラキラ様は颯爽と帰られた。
大抵、滞在時間は2時間から3時間程度だ。
やはりこの国の将来が心配だ。
───その頃王宮の一室では
「まさか、外堀から埋めていく手段をお前が取るとはな」
口の端を上に少しあげながら不敵な笑みを浮かべる。
「まぁ、今まで文通だけで良く我慢してたもんだよな」笑いながらキラキラ様に話かける人がいた。
近衛騎士のヘンリーだ。
彼は、王太子殿下とは、乳兄弟であり、殿下の幼馴染でもあり、宰相様の息子である。
スティングレー侯爵家の跡取り息子である。
実は、最近私もこのことを知ったのである。
「いつまで休憩しているんだ?スティングレー卿?」低く無機質な声が、執務室に響く。
「おお! こわ!」笑いながら手を振り部屋を出て行くヘンリーだった。
実は明日から暫くの間、王太子殿下は公務で、王都を離れる予定だったのだ。
そして、1週間後は、エレナの100円ショップのオープンの日だった。
─── 一人残された部屋で黙々と書類にサインをする、キラキラ王子様だった。
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