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23 陣中見舞い

 開店準備も佳境に入ったある日のこと…







 出たぁ────あぁ────!



 もはや、オバケ扱い……



「随分、進んでいるねぇ。元気にしてたかい?」




「ウギャ!」

 ビックリするがな……淑女とは思えぬお言葉を発してしまったワタクシは慌てて俯き誤魔化す。マジ心臓止まるかと思ったやんけ!と心の中で悪態つく。



「で、殿下?」

私が小声で呟くと、薄ピンクで形も良いツヤツヤお口の真ん中に、長いカモシカの様、もとい、白魚の様な人差し指を立てる。


 後ろに見えるのは、以前、お城に上がった際に案内してくれた殿下の近衛騎士様のヘンリー様だ。

 私が、にこやかに会釈すると、優しく微笑まれた。


「えぇっとぉ……。こちらはまだ開店前でありまして……」

緊張のあまり、訳のわからない言葉を発する。


「うん。エレナ嬢が、頑張ってると聞いて。今日は差し入れを持って来たんだ。近くまで来たから」

 久々にキラキラ光線を発射する。


 ヘンリー様を見ると両手に大きなカゴを抱えている。


 待て、待て!王太子殿下が、王宮を出て、近くまで来る用事なんかあるんかい!しかも、思いっきり庶民の格好で!と、激しく心の中で突っ込む。


「左様でございましたか」全力営業スマイルで返す。


「みなさんでどうぞ~」

爽やかな声でヘンリー様がカゴをレジカウンターにゆっくり置く。


 幸い、みんな昼休憩で出はらかっていた為、店内には私と、陳列棚を設置に来ていた棟梁とお弟子さんしか居ない。


 二人に丁寧にお礼を述べると、キラキラ様が麗しい微笑みで「忙しいところを、お邪魔したね。また来るよ」と、甘美な声で言う。


 そのまま颯爽と二人は去って行ったのだった。




───え?何だったの?(差し入れって言うてたやんけ!




 破壊力、パネーわ………




 エレナは100000ダメージ受けました…… 

 脳内にテロップが流れた。


 HP残り僅かです───





 お昼休憩から戻って来た、パート主婦のアンナが「さっき、そこの通りで、すっごいイケメン見たんですけど、お嬢様ご覧になりました?」頬を赤く染め、興奮気味に言う。


「いえ?特には?見てないわよ?」抑揚のない小声私はで答える。

 ヤバイ! 

突然の質問に動揺してしまったわ……

少し俯き加減で商品を手取り、並べているふりをして、なんとか誤魔化す。


「あら?そうなんですかぁ。残念でございましたねぇ。とてもハンサムな方でしたよ」と、少女の様に目をキラキラさせながら、早口でアンナが言う。



 カウンターにあった大きなカゴに沢山のお菓子やフルーツ、飲み物を目にして「こちらは?」アンナが再び言う。


「少し前に、お知り合いの方がいらして、差し入れをお持ち下さったのよ」

 今度は完璧な営業スマイルで答えた。




 ハァ……ドッと疲れが出た気がする。






 〇トラッ〇ュ僕は疲れたょ……

 頭の中で犬を抱きしめた……













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