19 100円ショップ(2)
早速「計画書」を持ってお父様の執務室に行く。
今回はお父様も私が、ここ数日間「公爵邸恒例市場調査」を行っていたのを、ご存知だった為すんなり受け入れてくれた。
今回は女性の意見も聞きたいと思い、お母様とメラニー、ルーシーにも同席してもらった。
「お嬢様!素晴らしい計画で御座います!」女性陣からは大絶賛された。
前の世界でも大人気の100円ショップ。この世界でもきっと受け入れられるはずだ。
規模は小さくても、どれでも同じ値段。
日用品から小物雑貨まで多岐に渡り、気軽に買うことが出来るのだ。
しかも安価で。そしてその資金源の為に、商品を内職で作成できるのだ。
「考えただけでワクワクします!」
ルーシーが興奮した様子で言う。
「明日から私も小物を作成しますね。是非お嬢様のお店に並べて下さい!」
頬を高揚させながら。
その後、屋敷の侍女や、下働きの女性陣にも声を掛けてもらうと、みんな自分が作った物を売ることが出来て、それでお小遣い稼ぎが出来る。
言うことでみんなやる気満々だ。
お給金はちゃんと毎月支払っているのに……
その、皆の食いつきぶりに若干引いたが、お馴染みの営業スマイルで
「みんな無理しない程度によろしくね」
私は、その場をあとにした。
その後、我が家の従業員から「出店の際には是非とも店を手伝いたい!」
と希望が多数あった為、急遽、希望者には簡単な算術と、前の世界のパート時代の経験を活かした「接客マナー教室」を開くことになった。
算術に関しては、全て100円な為、足し算はあまり必要ないと思い、「つり銭計算」の為に「10までの引き算」が素早く出来るように徹底的に行った。
前の世界にあったアレ!
そう100マス計算である。
10までの引き算は、みんな暗算で素早く出来るようになったが、20を越す引き算になると、少し時間がかかる者もいた為、安定的な在庫確保の為も考慮して、1回の買い物を1人10点までとした。
これなら10までの引き算を完璧にこなせるようになれば、さほど心配はないだろう。
驚いたことに、侍女見習いのアンが、この算術にとても長けていることが判明した。
彼女は人当たりも良く、愛想も良いので、レジ候補の筆頭予定だ。
他にも侍女見習いの中から数名、算術が得意な者を発見できたことは、思わぬ収穫だった。
本来この国では、15歳未満の労働は禁止されているが、商店や貴族家の見習いとして働くことは許されているのだ。医療問題や田舎での貧困から、孤児などが多い為の救済措置である。
庶民向けの衣類の流通が少ない為、安価で買い取ったリサイクル衣料も販売品候補となった。
乾燥機などない時代、着る期間が短く、急遽の洗い替えが必要となる、産着や子供服を中心に集めることにした。
庶民向けの衣料品店、ましてや子供服を取り扱う店など存在していなかった為でもある。
貴族邸で使用された、中古のおもちゃ等も販売予定だ。
───将来この国を支える子供達にも優しい環境を作っていきたい。
空のワインボトルやジャム瓶なども、使い方によれば、じゅうぶん売れるはず。
今までは、これらは全て廃棄されていたのだ。
店では買取と販売の両方を行う為、うちの侍女達以外の店員も数名が必要だ。
この件については、商業ギルドに求人を出すことにした。
あとは店舗を構える土地と、店舗の購入だ。
幸い『エレガンス』のおかげで、資金はそこそこ貯まっている。
ちょうどお父様のご友人の叔母様が、来月故郷の田舎に戻る予定で、王都で経営していた酒店を手放すとのことで、早急にお父様がお手紙を書いてくれた。
翌日には返事が来て、お父様と一緒に見学に行くことになった。
酒蔵も隣接してあり、商品の倉庫にちょうど良い。
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