表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/84

16 眩しすぎる

 例の如く、王族御一行様に笑顔で見送られ、私はキラキラ王子様と庭園に向かう。

 前回行った「バラ園」とは別にある季節の花々をセンス良く配置した、おしゃれな庭園だ。


「やっと会えたね」キラキラ王子が、目を細めながら微笑む。


 私は、と言えば眩い光線に目を細めながら(単純に眩しすぎるだけの話)数々の贈り物のお礼と、手紙の返事の遅さを詫びる。筆不精と言う設定にしておいた。


 公爵家の総領娘が筆不精っていうのは、不味かったかしら……お父様ゴメンナサイ。心の中で謝っておく。


 キラキラ王子様は「気にしなくていいよ。エレナ嬢は、色々活躍し忙しい身だろうから」と、優しく気づかってくれた。


 いや、忙しいのは私より、王太子である、キラキラ王子様の方だろ……心の中で突っ込む。


 庭園を、キラキラ王子の案内で少し散歩すると、美しいガセボの前に案内される。


 テーブルの上には、可愛らしいティーセットと、溢れんばかりのフルーツや、サンドウィッチ、定番の粉物達が、テーブルいっぱいに鎮座している。


 嫌がらせでしょうか? 前回の失態を思い出させるつもりでしょうか? と心の中で、闘志がわく。


 ナメんなよ!こちとら今日は3日前から対策を練って来たんじゃい!かかって来いや! 腹の虫め! 下腹に思わず力が入る。


 イケナイイケナイ……つい元の世界のアラサー独女の思考が……

 営業スマイルでニッコリ微笑んで、前回の非礼を詫びる。


「エレナ嬢が、どんな物が好きか? わからず、今日は色々と用意してみたんだ」

 キラキラ笑顔で言われる。


 本当に絵本から抜け出して来たような理想の王子様だわ。本当の14歳の少女なら、イチコロだわ………感心する。


 容姿は勿論のこと、優雅で流れるような所作、周囲への気配りと、溢れ出す気品。高貴な身分にもかかわず、おごることなく謙虚な姿勢。


 これが本物の王子様なんだわ。心の底から感心する。



 が! しかーーーーし! 

 私は心はアラサー独女。


 信じて結婚した夫に裏切られ、コツコツ幼少の頃から貯めてきた貯金を、夫の借金で失くし、病気のせいで職も失い、文字通り、ゼロになった私には、その、キラキラと光輝く世界はガラス越しにしか見えないのだ。





 私には眩し過ぎる。





 そして、望んではいけない──





 ただ、ただ、平凡で安定した生活さえ送れたら、それで私はじゅうぶんだ。





 私のような毒女が光の世界を望んだらバチが当たる。

 ごめんなさい。神様……


 こんな、何もない毒女に親切にしてくれる両親や、屋敷の人々。


 子供の突飛な話を真剣に聞いて直ぐに動いてくれる人達。こんな小娘を1人のレディとして扱ってくれる王族。


 見た目は才色兼備で可憐な少女だけれど、中身は全く別の毒女なことを、今の幸せを失いたくなくて、黙っていることに罪悪感を感じ、涙が溢れてきそうになったのを、グッと堪える。






 ──私は望んではいけないのだ。










「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

続きが少しでも気になると思っていただけましたら、下にある✩✩✩✩✩から作品への応援と、ブックマークをして頂けると、作者は泣いて喜びます。是非よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ