16 眩しすぎる
例の如く、王族御一行様に笑顔で見送られ、私はキラキラ王子様と庭園に向かう。
前回行った「バラ園」とは別にある季節の花々をセンス良く配置した、おしゃれな庭園だ。
「やっと会えたね」キラキラ王子が、目を細めながら微笑む。
私は、と言えば眩い光線に目を細めながら(単純に眩しすぎるだけの話)数々の贈り物のお礼と、手紙の返事の遅さを詫びる。筆不精と言う設定にしておいた。
公爵家の総領娘が筆不精っていうのは、不味かったかしら……お父様ゴメンナサイ。心の中で謝っておく。
キラキラ王子様は「気にしなくていいよ。エレナ嬢は、色々活躍し忙しい身だろうから」と、優しく気づかってくれた。
いや、忙しいのは私より、王太子である、キラキラ王子様の方だろ……心の中で突っ込む。
庭園を、キラキラ王子の案内で少し散歩すると、美しいガセボの前に案内される。
テーブルの上には、可愛らしいティーセットと、溢れんばかりのフルーツや、サンドウィッチ、定番の粉物達が、テーブルいっぱいに鎮座している。
嫌がらせでしょうか? 前回の失態を思い出させるつもりでしょうか? と心の中で、闘志がわく。
ナメんなよ!こちとら今日は3日前から対策を練って来たんじゃい!かかって来いや! 腹の虫め! 下腹に思わず力が入る。
イケナイイケナイ……つい元の世界のアラサー独女の思考が……
営業スマイルでニッコリ微笑んで、前回の非礼を詫びる。
「エレナ嬢が、どんな物が好きか? わからず、今日は色々と用意してみたんだ」
キラキラ笑顔で言われる。
本当に絵本から抜け出して来たような理想の王子様だわ。本当の14歳の少女なら、イチコロだわ………感心する。
容姿は勿論のこと、優雅で流れるような所作、周囲への気配りと、溢れ出す気品。高貴な身分にもかかわず、おごることなく謙虚な姿勢。
これが本物の王子様なんだわ。心の底から感心する。
が! しかーーーーし!
私は心はアラサー独女。
信じて結婚した夫に裏切られ、コツコツ幼少の頃から貯めてきた貯金を、夫の借金で失くし、病気のせいで職も失い、文字通り、ゼロになった私には、その、キラキラと光輝く世界はガラス越しにしか見えないのだ。
私には眩し過ぎる。
そして、望んではいけない──
ただ、ただ、平凡で安定した生活さえ送れたら、それで私はじゅうぶんだ。
私のような毒女が光の世界を望んだらバチが当たる。
ごめんなさい。神様……
こんな、何もない毒女に親切にしてくれる両親や、屋敷の人々。
子供の突飛な話を真剣に聞いて直ぐに動いてくれる人達。こんな小娘を1人のレディとして扱ってくれる王族。
見た目は才色兼備で可憐な少女だけれど、中身は全く別の毒女なことを、今の幸せを失いたくなくて、黙っていることに罪悪感を感じ、涙が溢れてきそうになったのを、グッと堪える。
──私は望んではいけないのだ。
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