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13 王太子様は暇人?

 先日の王宮での謁見を終えた後、私の周りでは今までとは少し違った生活となっていた。


 朝起きると「お嬢様、お届け物です」と、ここのところ毎日のように執事のセバスが私のところにやって来る。


 残念なことに、執事の名前はセバスである。

 セバス・グレゴリー。

 この国の伯爵家の親戚筋にあたるとても有能な人だ。


 執事と言えば、前の世界の記憶からセバスチャンだろ!

 初めて彼にあった日に思いっきり自分に突っ込んでみた。

 残念ながら彼は眼鏡もかけていない。

 うん。非常に残念である。───しつこい…


 ちなみに、侍女長のメラニーはセバスの奥さんだ。

 まあ、そんな私の願望の話は置いておいて。


 そう、あの日、王宮から帰った次の日から、ほとんど毎日のように、クッキーや、スコーン、パイに、マドレーヌと、粉もんオンパレードのお菓子が王太子殿下から贈られてくるのである。


 これ、早くプリンやゼリーも開発するべきかしら? 

 王太子殿下のおかげで、新しい目標が出来たことだけには感謝する。


 そんなに私が食いしん坊に見えたのかしら?

 ハァ…消し去りたい……


 侍女達や調理場のみんなにプレゼントしたら、最初はみんな口を揃えて「恐れ多い」と、

 恐縮し誰も口にしようとはしなかったが、流石にこれだけ毎日続くと、人間慣れてくるものですね。


 最近、侍女達の間では

「今日のお菓子は何でしょう?」

 の賭けをしているらしい。


 大丈夫か?この国。将来国のトップになる人だぞ?


 そんなに王太子って仕事暇なのか?


 お父様や、セバスやメラニーの話によると、王太子殿下はとても優秀な方だそうだ。


 剣術の腕前は確かで、おまけに博識。いわゆる文武両道タイプだ。

 おまけに正真正銘のキラキラだ。


 幼少時より、国王陛下の側で公務の手伝いをされていて、政治に関しても明るい方だそうだ。

 そんな優秀なお方が、何故に?


 自分で言うのも何だが容姿は優れていても、私はまだ社交界デビューもしてない小娘だ。


 ちなみに王太子殿下は御年19歳。立派な青年である。この歳まで婚約者が居ないのも王族としては珍しい。


 元いた世界の常識で言うと、13歳の小娘相手に、熱心に毎日贈り物攻撃するって犯罪レベルだ。しかもたった数時間会っただけの相手に。


 まあ初対面で、将来この国のトップになるであろうお方に、臣下としては最高位の公爵家の総領娘がお腹の虫の音を盛大に聞かせたのだ。


 あの時の自分の情けなさと、恥ずかしさを思い出すと今でも穴があったら入りたい気分だ。


 今世紀最大の黒歴史に違いない!(とは言っても、転生してまだ3年しかたっていないんですがね)


 初めてのキラキラ本物王子様との出会いは最悪である。

 出来ることなら、なかったことにして欲しい。


 笑えない冗談だ……


 王太子殿下って、もしかしてロリコン?


 はっ! もしかしてペットとして見られている?

 だから餌付けかぁーー!


 悲しいけどちょっと納得。

 あの時の自分に膝蹴りをしてやりたい気だ……


 今日も、王太子の仕事って暇なのね。

 と思いつつ、贈られて来たお菓子を調理場に持って行き、カードは自室の机の上に重ねる。

 まだトランプは出来そうにないわね。と呟く。


 うん! 忘れよう! それがいい!


 得意の現実逃避スキル発動し乗り切ろうとした時、そんな私の顔に気づいたのか?侍女長殿より

「お嬢様、殿下へのお返事を早くお書き下さいませ。殿下を長くお待たせするなんて、もってのほかでございます!」

 強めの口調で言われる。

 怖いょアナタ…。

 助けてセバスチャン───しつこい。






 ───その頃、王城では


 王太子殿下の声が、殿下の執務室で鳴り響いていた。

「エレナ嬢からの返事はまだか?」


 彼の護衛騎士であるヘンリーは、直立不動のまま


「本日の殿下宛のお手紙は先程お持ちした物が全てです」少し小さめの声で答える。


 彼女にお菓子を贈るようになってから、10日に1回程度は返事の手紙が来る。

 最初は3日に1回程度だったが、最近では返事のペースがゆっくりになっているような気がする。


 やはり、しつこく贈り過ぎたせいだろうか? 彼は頭を抱えていた。

 3日に1回にするべきか? いや、一日おきに?


 真剣に悩む、麗しきキラキラ様がいた。

















「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

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