女の密談
※ハーピー視点
「コトっちはサンカはんを助けようとしてパスが繋がった。シノっちは逆に助けられてパスが繋がった。つまりこういう事や。助けたり助けられたりの状況でパスが繋がるんや。せやろ?」
「………………シノっち」
「状況だけで言えばそうなりますね…。でもそんなにテイムされたいんですか?」
そんなもん、されたいし名前も欲しいに決まっとるやろ。こん蜘蛛ほんま腹立つなあ………。
サンカはんが亡くなりはった後、祠の担当しとったからて偉そうにすんな。好きやったんか何か知らんけど、死んだ男の空き家で五百年も暮らすとか闇深すぎなんとちゃうか? こいつメンヘラ極まってんで。
ウチらはサンカはんらの会談しとる茶室の近くのお花畑におる。
こそこそ話すんのにお花畑はないやろ。こいつらの頭がお花畑やで。コトっちは暢気に花つんつくしとるし、シノっちはいつものこっちゃけど白けとる。その勝者の余裕が気に入らんわ。
「いっそ露に、主さまをお慕いしていんすと言うてみなんし。なんぞ進展もありんしょうえ」
何言い出すねんおっぱい蛇! そないな事ぴよってもて言えるわけないやろ!
「あ、あ、阿呆かっ! 他人事や思てっ、言えるわけないやろ! シノっちそんな恥ずい事言えるんか……?」
「言うも言わぬも主さまは、わっちの心持ちを知っておいででありんしょう。仮え知らぬとおっせんすともそれはそれで構いんせん。わっちの心が要でありんすえ。ああよこうよと零しとらんと真っ直ぐ勇気を出しやんな」
もう後半何言うてんかさっぱり分からんけど……。多分腹括れ言うてんやろな。
「せやけど………。ウチ、見た目が鳥やし」
「鳥ですからね」
「鳥でありんす」
「ちっぱいやし」
「………………」
「………………わっちを見んといてくんなまし」
やっぱ直談判しかないんかなー……。ほんま言いにくいなぁ……。
せやけど名前もらえんと立ち位置がまずいんはめちゃめちゃ分かってる。
サンカはんに付き歩いとる限り立場がないやろ?
ハイドーモー。コトっちでーす。シノっちでーす。鳥っちでーす。ってほら! なり悪いやんか!
「分かりました。私が言うので。それで終わりです」
花と話に飽きたんか、突然コトっちが立ち上がって宣言しよった。
ちょ、ちょ待って! そんなん心の準備が! あと終わりとか言わんとって縁起悪い!
「あい。ようござんす。こんお話はそれで終わりにいたしんしょう」
終わらすなって蛇! 勝ち組は気が早すぎるやろ!
そんなこんなでテンパっとる最中に、向こうからサンカはんが歩いてきた。え? もう話終わったん? もっとゆっくりしはったら………。
「サンカさま、もうお話は済んだのですか?」
「粗方は終わったよ。ちょっと余計な事を知ってしまった。うーん…、どうするかな………」
あ、アカン。アカンアカン。心臓が! 心臓が! こんなんアカンてっ!
「お悩みのところ言いにくいのですが、鳥がサンカさまに懸想しているので。何卒テイムしてあげられませんか?」
「はい? け、懸想?」
アッカーン! ど直球放りよったあああ! 色気もくそもないやあああん!
頭から血の気が引いてくらくらする。蜘蛛…、ああ蜘蛛…、洒落ならんで。これはほんまに洒落ならんで。ほんまにアカンから………。た、立ち眩みが………。
「そうかそうか。なつかれるのは嬉しいなあ。こっちおいでハーピー」
おいでって…。なつかれるて…。そんなんちゃうんやで…。これはもっと深うて真面目な…、恋とか愛とか…、無理やぁ…、身体が吸われてまうぅ…。
「ピ…、ピョ♡」
「俺もできればそうしてあげたいんだけどね、テイムの対象を自分で決められないっていうか………。あれ意図的じゃなくて自動的に成立しちゃうんだよ」
ああ…、よしよしされてまう。も、もっとよしよし。もっとよしよし! もっと撫でてもええんやで♡
「テイムについてはちゃんと研究しておくよ。偶然なっちゃうと困る事もあるかもしれないからね。だから少し待っててくれるかな?」
なんぼでも待つさかい、そ、その、……お、お嫁ちゃんにして♡
「ピ………ピョョ♡」
「気持ち悪いので」
「面映ゆうございんす」
次回月曜日更新です。
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