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「まあ、お前さんが幸せなら何でもいいんだがな」下

 人の恋路を応援するのは割と骨が折れるものだ。


 軽い気持ちでイルヴィスの話を聞いて早数時間。夕食中もひたすらに惚気られた結果、死ぬほど甘い料理を食べる羽目になった儂は、自分の迂闊さをこれでもかと後悔することになった。


 妻がときおり楽しそうに話を聞かせてくれていたが、実際に体験してみるとその大変さを思い知らされる。年寄りが若者の熱量についていくのは簡単じゃない。



「という訳でして。その時のアマリアときたら……!」

「そうかそうか、それは良かったのう」

「ですが、あの鈍感さは何とかなりませんかね。いえ、鈍いところもとても可愛らしいのですが」

「それをアマリア嬢に直接伝えたらいいんじゃないのか?」

「そっ、それはそうですが」



 先ほどまでの惚気話から一転、イルヴィスは顔を赤くして目を逸らした。ここまで惚れ込んでおいて、どうやらまだ照れが残っているらしい。

 微笑ましく思いながら、己には出来なかったことを軽々しく成し遂げたそのご令嬢の正体を考えた。



「いやはや、それにしても聞けば聞くほど逆にアマリア嬢が気になってくるぞ!お前も勿体ぶらないでくれ」

「……?アマリアの事は閣下もよくご存知ではありませんか」

「儂も普通のご令嬢のことを詳しく調べんよ」

「おや、もしやお気づきでは無かったのですか?」



 イルヴィスの目にからかいはなく、本心から驚いたようだった。慌てて記憶を掘り返すも、まったくそれらしい手がかりは見つからない。



「……儂も年には勝てんということか」

「年齢は関係ないかと思いますが。まあ、確かに数年も前のことですし、閣下が忘れるのも仕方がないことかと」

「数年も前、だと」



 瞬間、一つの可能性が脳裏に浮かぶ。

 同時に己の息子の執念を改めて突きつけられた気がして、自分の頬が引きつったのを感じた。だが、それと同時に小さな喜びと安堵を覚えたのも確かだ。



「まさか、そのアマリア嬢は」

「ええ。昔、私を助けてくださった彼女ですよ」



 ああ、こやつはやっと待ち望んだ宝物を手に入れられたんだな。ご令嬢は大変かもしれんが、イルヴィスなら幸せにしてやれるだろう。


 しかし、そのご令嬢は確か婚約者が居たはずだが……。



「ルイ坊よ。お前もしや……寝取ったのか?」

「違います!!!!」



その後、イルヴィス出会い話を追加聞かされる閣下の姿が目撃されたそう。



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