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「では本題に入ろうか」

 とアルフォンスが告げる。レーア様が一瞬緊張したように見えた。

「大丈夫だよ。もう殆ど合格だから。最後の確認をしたい。レーア嬢」

「は、はい」

「あの手紙にも書いたけど、家にもう戻れなくてもいいかい?」

 少しも考えることなくレーア様はハッキリと答える。

「はい。もうあの家に戻る気はありません。私は自分の好きなように生きていきたいです」

 強い意思を感じる瞳だ。


「その理由を聞いても?」

 レーア様は深呼吸してから、口を開いた。


「私は物心ついた時から周りに精霊が視えていました。しかし家族に話しても、誰も視えてはないので気味悪がられるだけでした」

 一つ一つ思い出すようにレーア様は話し出した。


「私の実の母は私を産んですぐに亡くなったため、今の子爵夫人が後妻に入り、妹が産まれ、一応別け隔てなく育ててはくれたのですが、やはり血の繋がりは大きいです。どうしても何事も妹優先でした」

 仕方ない部分もあるのだろう。

「私も隠してはいたのですが、たまに精霊達と話をしている所を見られ、化け物と罵られたり」


 ビクッとした私の手を隣にいたアルフォンスの手が握ってきた。

 大丈夫だ。もう大丈夫だ。

 

 アルフォンスの手を握り返す。アルフォンスが微笑む。


「私も成人になり、デビュタントは出してもらえましたが、それ以外は出ないようにと命じられていました。外で何かに話しかけたりして変な噂が立たないように、と」

 そこまで隠したがるものなのか。

「18になり、急に結婚が決まったと言われ、聞くと50近くの方の後妻だと。私はこのまま何もかも隠して生きていかないとだめなのか、私の意思はないのかと思っていた時にリリエスタ公爵家のお茶会がありました。普段なら妹だけなんでしょうが、女性全員とのお達しがあり、お父様も渋々ですが、出席しろ、と」


 そこでレーツェル様にお会いしました、と。


「あの時、レーツェル様とアメリ様とお話ができて、私でも役に立つことがあるかもしれないと思い、考えて、考えて抜いた末にあの時そばについてもらった精霊に伝言を頼みました。……私は…こんな人とは違う私でも大丈夫ですか?役に立てますか?」

 

 アルフォンスと手をお互いに握りしめる。同じ思いの人がここにもいた。私達は助けることができるはずだ。助けたい。


 アルフォンスが口を開く。


「大丈夫だ。間違いなくこの国の役に立つ。言ってはなんだが、父親のストリア子爵よりも。なあヴァイツェン?」

「ああ間違いないね」

「我が国の魔道士部門は君を歓迎するよ、ようこそ」

 じゃあ、そのつもりで話を進めていこう、と、アルフォンスがいくつかテオに指示を出す。

 テオが了解しました、と書類を準備してきます、と王宮の方に向かった。


「じゃあ書類が整うまでの間に、適性ときちんとしたレベルを確認しようか」

「適性?」

 と、私が聞くとアルフォンスが説明してくれた。

「そう、適性。魔道士でも攻撃系か回復系、どちらが得意かで部隊を分けてる。やっぱり得意不得意あるからね。たまにどちらもという万能型(オールラウンダー)もいるけど。ちなみにヴァイツェンと私は万能型(オールラウンダー)。ライラは回復系」

 なるほど。でもどうやって見極めるんだろうと思っていたら

「まあ一番わかりやすいのはそばで手伝ってくれる精霊の種類なんだが」

「種類?」

「そう。レーツェルなら視えてるからわかると思うけど赤色系の子とか水色系の子とかいるでしょ?どんな色の子に好かれているか、なんだよね。回復系だったら緑色系とか」

「へぇー」

 初めて聞くことなのでびっくりしていると、レーア様もびっくりしていた。

 ヴァイツェン様が

「ここはアルフォンスの防御壁が強いから呼ばないと入ってこないのかな?」

「そうですね」

 レーア様が思い出したように


「防御壁ってあの紫色のやつですか?」

「「え?」」

 アルフォンスとヴァイツェン様が同時に驚く。

「え?なにか?」

 聞いたレーア様も二人が驚いたことに驚く。


「……驚いたな、それまで視えてるのか…」

「これはこれは。楽しみだ」

 と二人共何故か凄い嬉しそうです。


「じゃあまずは適性から」

 確認しようか、とアルフォンスが私の方を向く。


「レーツェル、お願いできる?」

「はい」

 アルフォンスにお願いされた私は精霊達を呼び入れる。



「ちょっと集まってもらえるかしら」


 その言葉を発した直後、どこからか一斉に精霊達が現れた。それもかなりの数だ。



「……すごい、こんなに沢山…」

 レーア様が声を出す。

「やっぱり視えてるだね。ライラは視えないよね?」

 と、ヴァイツェン様が隣のライラ様に確認する。

「はい、キラキラとはしてますが、形や色までは」

 全然わかりません、と答える。


「視えてるんなら話は早い。レーア嬢、精霊達に向かって、近くに来てと言ってみて」

 アルフォンスが指示すると、レーア様が恐る恐る


「近くに来てくれますか…?」

 と精霊達に向かって声をかける。


 すると10人くらいの精霊がレーア様の近くに集まった。それも色とりどりだ。


 それを見たアルフォンスとヴァイツェン様が

「これは予想以上だ。どうやらレーア嬢も万能型(オールラウンダー)だね」

「そのようですね。しかし数が凄い」

 アルフォンスも楽しそうだ。

「あ、あの…」

 レーア様がわけがわからないと言った顔をしているとアルフォンスが

「ああ、まず色とりどりの精霊が君の周りに来てくれた、と言う事で攻撃系でも回復系でもどちらでもいけそうだ。それと呼びかけに応じた精霊の数が多ければ多いほど扱える力が強いということだ」

 まあレーツェルの呼びかけにはかなわないけどね、と。

「10人ほどですが、普通?はどのくらいなんですか?普通って言っていいのかわかりませんけど」

 と、尋ねてみる。なんせ自分は魔力関係は今まで全然関与してこなかったので基準がわからない。

「そうだね、魔道士として普通に仕事できる人で二人ぐらい来てくれればって感じかな。ライラクラスで三人から四人。本人達は視えてないからわかってないけど、私やヴァイツェンで新入隊時に鑑定してる」

 ちなみにライラは四人だね、と。

 ライラ様もへぇーと声を出している。アルフォンスが続けて

「なのでレーア嬢はほぼトップクラスだね。それに合った訓練内容になる」

「……訓練、ですか?」

 レーア様が不安げに尋ねてくる。するとヴァイツェン様が

「大丈夫だよ。最初は簡単なものから始めるので心配することはないよ」

 ちょっとホッとしているレーア様がいた。


 あと、これからの事なんだけど、とアルフォンスが切り出すと、レーア様がまた緊張する。

「緊張しなくてもいいよ。家にはこちらから連絡する。直接レーア嬢には接触しないようにするから大丈夫。あと住む所なんだけど、魔道士部門の寮が」

「うちにいらっしゃいな」

 と、ライラ様のいきなりの発言に皆びっくりする。


「あら、だめかしら?寮だとお家出たばかりだと色々大変でしょう、掃除とか洗濯とか。うちだとヴァイツェンや私が魔法関係を普段から教えられるし、掃除や洗濯も手伝いながら覚えていってくれれば。食事は私ので我慢してもらえるかしら」

 ねぇ、ヴァイツェン?と隣に座る旦那様に声をかける。

「そうだね、レーア嬢さえよければ。ライラの食事は美味しいよ。ちょっと王宮まで通うことになるけど馬車で15分くらいだから」

 アルフォンスも

「お二人がよろしいなら一番いいとは思いますが。レーア嬢、どうする?」

「あ、え?……ど、どうすれば」

 そりゃあいきなりすぎますよね。レーア様が迷っているとライラ様が

「うちは息子二人いるんだけど、もう成人して家から出て行ってるから部屋は余ってるの。良ければ住んでもらえると私が嬉しい!娘が欲しかったのよ」


 ……どこかで聞いたことのあるセリフだ……。


「え、でも」

 迷ってるレーア様に私は

「お世話になったらいかがですか?掃除や洗濯を少し習って、一人でもやって行ける、と思ったらいくらでもその時点で寮に移ってもいいくらいですし。それにこの国内で魔法を学ぶ場所としたら最高の場所だと思いますよ、ねぇ」

 と、皆の方を向くと、エルゼとレミリアも頷いてくれた。


「遠慮しないで、まずはお試しで一週間から」

 どうかしら?とライラ様がウィンクする。


「では、お世話になります」


 レーア様はもう迷ってはいなかった。


 

本日もご覧いただきありがとうございます。


感想をいただきとても嬉しく励みになりました、ありがとうございました。

よろしければ評価、ブックマークポイント、ポチッと押していただければ、と思います。


明日も更新予定です。

よろしくお願いいたします。

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