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 その薄い金髪と薄い紫色の瞳の令嬢はちょっと驚いている感じでこちらを見ていた。


 あれは、ストリア子爵家のレーア様だ。他の方々もこちらを見ているが遠慮がちにチラチラとなのだが、彼女だけは何故かしっかりとこちらを見つめ続けている。

 何かしましたっけ?と思っていると精霊達が


『あのこ、わたしたちのこと、みえてる』


「え?!」


 思わず声が出た。


「レーツェル、どうかした?」

 ユーリア様がこちらを向く。

「あ、いえ何でもありません」


 慌てて返事をする。


 ――――わたしたちのこと、みえてる


 すなわち精霊が視えてるということで、そのことは何を指すのか。


 ヴァイツェンの妻のライラでさえ視えてはいなかった。キラキラした感じだけで。

 魔道士の隊長クラスまで務めている者が視えてないのに視えてるということは、だ。


 本当に視えているのか確かめたいが、どうすれば

いいのか。話しかけてみたい。私から動いていいのか。うーんと考えていると眉間にシワでもよっていたのか、アレクシア様とユーリア様が覗き込んできて


「どうしたの、レーツェル。誰かと話したいの?」

「あ、そうなんですけど仰々しくしたくないというか、そっと話したいというか……」


 今、私が呼んで話したら注目の的でまともに話してくれない可能性がある。

 どうしたらいいんだろうと思ってると、ユーリア様が

「どの娘?」

 と聞いてきたので正直に

「あのストリア子爵家のレーア様と」

「あの娘と?そういえば彼女がこういう場に来るのも珍しいわね。確かに彼女だけを呼ぶと周りがかなりうるさそうね……」

 ユーリア様が考える。


「じゃあこうしましょ」 

 と、アレクシア様ニコッと笑いながら指示を出している。


 アレクシア様がリリエスタ公爵夫人と話しをすると、あっという間に六人掛けのテーブルと椅子がソファの横にセットされ、お茶とお菓子が準備される。


 さらに何人かの令嬢方が呼ばれ、そのテーブルに集まってきた。

 レーア様も呼ばれて恐る恐るといった感じで椅子に座った。


 なるほど、レーツェルに近い年齢でアレクシア様のお眼鏡にかなった令嬢が五人呼ばれた体となっている。


「レーツェル、こちらへ」

 と、あくまでアレクシア様が仲良くしてね、と呼んだ感じだ。

 そしてさり気なくレーア様の隣が空けてある。流石である、ありがたい。


「先ほどは挨拶させていただきありがとうございます。私、こういう場は初めてでして、リリエスタ公爵夫人とルカリスティア公爵夫人が気をきかせてくださって。是非皆様とお話させていただいても?」

 

 レーツェルが優しく話しかけると、何で自分が呼ばれたかわからずオドオドしていた顔が少し和らいだのがわかった。

 

 あくまで年齢的にも仲良くできそうな、それでいてあまり目立つ方もおらず、素晴らしい人選です。

 

 お茶をいただきながらドレスなどの話しを振ると皆少しずつだが歓談ムードになってきた。


 隣のレーア様も最初は少し、いやかなり警戒していたが、ポツポツと返事をしてくれている。


 ちょっと仕掛けてみましょうか、と精霊達にお願いする。


 あくまで確認だけなので、驚かすとかはなく。

 

 精霊達を呼んで周りにきてもらう。肩や足元、手元にちょこんと乗ってもらう。


 隣のレーア様が一瞬ギョッとしたのがわかった。では、もう一歩踏み込んでみますか。


 今度は私だけじゃなく、レーア様の前にも行ってもらう。手元や肩に。

 

 気づかない、視えないふりをして、何事もないように話してはいるが、これは絶対視えている。


 その後も何事もないように他愛もない話しを少しして、アレクシア様に目配せをすると、わかってくれたのか、こちらに来て


「少しお話できたかしら。皆様、年も近い事ですし、これからも是非仲良くしてね」

 と、この場を切り上げてくれた。流石慣れてらっしゃる。

 

 皆、立ち上がり、各々の家族の元に戻っていく。私も最初のソファに座り直す。ユーリア様が


「どうだった?」

 と尋ねてきたので

「とても有意義でした。帰ったらアルフォンスに報告しないと」

「それはそれは。セッティングしたかいがあったわ」

 とアレクシア様がにこやかにおっしゃった。

「ありがとうございました。あの形は非常に助かりました」

「一人だけ呼ぶと後々がね、大変なのよね……」

 と、なんだか遠い目をしていらしてます……。


 その後、ユーリア様とアレクシア様のお茶会でよく会う方々ともお会いして少しお話した。


 彼女達は知っているので、話題はやはりレーツェルの髪型だった。


 ユーリア様のお友達が少し大きめの声で


「本日の髪型もアルフォンス殿下作なんでしょう?相変わらず素晴らしいですわね」

 

 その言葉か聞こえた途端周りの方々が「え?」とした顔しているのがわかる。


 まあもう隠す必要もないし、いいか、と思っていると、

「ホントに。我が息子はこんなに独占欲が強いとは思わなかったわ」

 アレクシア様が少し怒ったように、でもどこか誇らしげに語っている。


 少し髪型も直したかったので、控室に一度戻ると告げて建物内に入る。アメリ様が後ろについてくれた。


「アメリ様ごめんなさい、慣れない事させて」

「大丈夫です。それほど変わりませんので。でもレーツェル様の軽いですね」

「軽さ重視なので」

 とアメリ様の腰辺りを見る。


 本来ならアメリの剣は一本なのだが、レーツェルがお願いして、二本帯剣してもらっている。


 王宮を出る前にレミリアに持ってきてもらい、アルフォンスに許可をもらい、アメリ様に頼み込んだのだ。


 今日のドレスももちろん剣など仕込めないし、足に短剣もつけれない。

 何もないとは思うがやはりあるのとないのでは安心感が違うのだ。

 

 控室に入るとエルゼがいて、少し髪型をなおしてもらった。

 先ほどのレーア様の話しをすると

「それは凄いですね。視えるとなるとかなり、ですよね」 

「そうよね。でもなんとなく訳ありのような感じもしないでもないのよね」

 と、話してからもう一度庭に戻るため、アメリ様と控室を出る。


 庭に向かう廊下を歩いていると何か声が聞こえてきた。



「なんで!?なんでお姉様なの?普段引きこもっているお姉様より私でしょ?年齢も近いのは私じゃない!」

 とかなり大きな声が響いている。声のした方向を見ると姉妹と思われる令嬢とその母親らしき夫人がいる。

 よくみるとレーア様だ。


 叫んでいたのは妹か。絵姿を思い出す。


 確かにレーア様は18歳、妹は16歳で、近いと言えば妹の方になる。


 母親は間に入ってオロオロしているだけで、妹を抑えきれてないようだ。どうやら妹の方が甘やかされて気が強そうだ。


「……もうそのへんで、ね?」

 と母親がいなしているが妹は止まらない。


「おかしいわよ!私の方がきれいだし、王妃様やレーツェル様の隣にいっても見劣りしないわ!なんでお姉様なのよ!ったく、変な物が見えて化け物が友達のくせして!気味悪いったらありゃしない!」


 これは………聞いている方が気分が悪くなりそうだ。


 レーア様はもう慣れているのか静かに何も言わずに流している感じだ。多分今までも言われ続けてきたのだろう。


「………レーツェル様」

 隣でアメリ様が心配そうな声を出す。

「大丈夫よ」


 こうなったのも私に責任があるのだし、このまま見て見ぬ振りはしたくない。


 わざと大きく一歩踏み出した。






明日も更新できる予定です。

よろしければ評価、ブックマークポイント頂ければ非常に嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

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