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 アルフォンスの執務室に入るとテオが迎えてくれた。


「おかえりなさいませ、お疲れ様でした」

 とソファをすすめられ、座るとお菓子が出てきた。あれ?このお菓子、と思っていると

「お気づきになりましたか?」

「もしかしてこのお菓子ってあの木の実使ってる?」

 昨日貰ったお土産の木の実。


「その通りです。先程出来たからとレミリアが持ってきまして。ちょうど良かったですね」

 と、お茶も出てきた。


 アルフォンスも座り一緒にいただく。

「うん、美味しい。こんなに香ばしくなるのか」

「凄い!これはあの栗鼠達に感謝ですね。今度お礼を言いにいかないと」

 そうだね、とアルフォンスも頷いている。


「リリエスタ公爵家のお茶会は一週間後だし、次の『加護』どうしようか?お茶会終わってからにする?先に、三日後くらいに一つ行こうか」

「そうですね。何もなければ三日後に一つ行きませんか?アルの予定さえ合えば、ですけど」


 テオに確認する。


「そうですね三日後なら調整がききますね。大丈夫です」

「じゃあ三日後に一つ行こう。レーツェルは今日、明日明後日はゆっくり休んでね」

「図書館はお許し願えますか?」

 アルフォンスはしばらく考えてから

「午後からだけなら、いいかな」

 でも無茶な読み方はしないでね、と釘をさされました。

「今日はこれからどうする?」

「大人しく離れに戻ります。アルはしばらくお仕事ですか?」

「ああもう少しだけしていく」


 わかりました、と告げて部屋を出ようとしたら、アルフォンスに止められた。

「一人はだめ!途中まで一緒に行くから」

「そんな、執務の邪魔になりますので」

「それでも送りたいの。じゃあ行こうか」


 送ったらすぐ戻るとテオに告げて一緒に執務室を出て、奥庭に向かって歩き離れ前まで着いた。

 アルフォンスが

「じゃあ大人しく休んでいてね」

 と、おでこにキスをしてくる。

「……いってらっしゃいませ、アル」

 手を振って見送る。


 離れに入り、エルゼとレミリアがおかえりなさいませと迎えてくれる。

「お菓子、持ってきてくれてありがとう。美味しかった」

「それは良かった。あとは夜食時に使ってくれるそうですよ」

「それは楽しみね」


 いくつか確認して寝室に入り、借りた本の続きを読み始める。



 借りた三冊を読み終わる頃にはアルフォンスが帰ってきた。


「ただいま」

「おかえりなさいませ、アル」

 軽くおでこにキスが降ってくる。

 

 夜食の準備をして四人でいただく。


「このジャムとそのお肉にかかっているソース、あとサラダにのっている木の実類につかわれているそうですよ。どれも新鮮でいい状態だったらしいです」

 エルゼが説明してくれる。

「タカスの森に行ってお礼言わないと」

「ほんとだね」

 

 とても美味しくいただいた。


 片づけも終わってから

「三日後にまた行ってくる。今度はそんなに朝早くに出るわけではないから」

 と、アルフォンスが次の『加護』に行くことを二人に伝えた。

「承知致しました。またリュック、準備しますね」

「お土産は無いと思ってくれれば」

 皆でクスッと笑いながらそうですね、と言い合った。



 二日間、午後から図書館で過ごさせてもらって、何事もなく時間は過ぎて行った。



 朝、いつも通りアルフォンスの挨拶で起きて、準備をする。

 

「今日もお出かけ用のワンピースでよろしいですか?」

「そうだね、この前と同じパターンで一回『竜化』を解きたいね」

「わかりました」


 朝食をいただき、最終確認をして庭に出る。


 アルフォンスがエルゼからリュックを貰い担ぐ。

「じゃあ行こうか。レーツェルはキチャの森の場所わかる?」

「地図上ではなんとなくですが。西の方角ですよね?」

「そうだね。近くになったら合図するね」

「よろしくお願いします」


 アルフォンスに命令してもらい、黒竜に変化する。


 騎乗しやすいように背を低くして、アルフォンスが跨がるのを待つ。

 アルフォンスは黒竜の顔を一度愛おしそうに撫でてから背中に飛び乗る。


「じゃあ行ってくる」

「いってらっしゃいませ、お気をつけて」


 エルゼとレミリア、王宮から来たテオに見送られ黒竜が飛び立った。



 この前の時より少し遅い時間なので、街はもうかなり活動している。大人も子供も皆空を見上げている。


 太陽の光を浴びて、鱗がキラキラと光り輝いている。


 今日行くキチャの森はそう遠くなく、しばらく飛ぶと見えてきた。


 アルフォンスが合図するより先に、森の中心部辺りから精霊達が飛び出してくるのか見えた。

「気づいてもらえたみたいだね、レーツェルあそこに向かおうか」

 アルフォンスの指示に従い、少しずつスピードを落として下降し始める。


 キチャの森も中心部にタカスほどではないがかなり大きい樹木が一本そびえ立っている。

 その木の根元に数日前の夜、部屋の窓の所まできてくれた精霊主の一人がいた。


「この前はありがとう。タカスの森の『加護』は無事に終わった。今日はここをしたいのだがよろしいか?」

 アルフォンスが尋ねると精霊主は頭を1度下げて

『タカスの森の事、ありがとうございました。ここの『加護』、よろしくお願いいたします』

「承知した。「キチャの森」で間違いないだろうか」

『はい、間違いごさいません。あとの文言も同じでお願いいたします』


 そう言われてアルフォンスは頷き、レーツェルの方を見る。

「では始めようか」

 

 精霊主が頷き手をあげた。


〘~∴∵∶∷~~∷∵∴〙


 音が聞こえた後、黒竜の顎下の鱗を触り唱える。


「我、黒竜レーツェル・シュヴァルツの契約者であるアルフォンス・シュヴァルツの名において命じる。 ここキチャの森の精霊主の声に応え、古からの理により竜の加護を与える。生成せよ!」


 黒竜から光の柱が上がる。


 タカスの時と同じように黒竜の咆哮で光の柱がドーム状に変わり、『加護』が完成する。



「よし、完了。これで大丈夫だろうか?『竜化』を解いても」

『はい、大丈夫です。とても綺麗な『加護』をありがとうございます』


 精霊主の確認をとり、アルフォンスはレーツェルを元に戻す。



 アルフォンスの腕の中でレーツェルに戻って、ふうと息をつく。


「お疲れ様レーツェル」

 と髪の毛にキスをしながら回復魔法をかけてくれた。

「ありがとうございます、アル」

 精霊主の方に向き直し

「この前はありがとう。助かりました」

『こちらこそありがとうございました』


「早速だが、場所を少しお借りしても?」

 アルフォンスが聞くと精霊主はにっこりと微笑み

『はい、どうぞ』

 許可を貰って、今回もピクニック気分で昼食をいただいた。


 食べ終わって、片づけていると視線を感じた。ん?と思って周りをみるとまたもや動物達に囲まれていた。

「あ、お邪魔しました。『加護』をしたから魔獣は入ってこれないと思うから皆仲良くね」

 と声をかけると一匹の狐が足元まてやってきた。

「お!」

 と思わず声が出たのと同時に足元に何か置いた。


 実がついた枝である。もしかして、と思った直後、動物達が一斉に足元にやってきて色々置いていく。


 思わず精霊主を見ると微笑んでいる。

『タカスの森の者が木の実を渡したという話は伝わっておりまして。なら自分達もと。よろしければ受け取っていただければと思います』

「あ、ありがとう。遠慮なくいただいて帰るわね」

 と、また空になったリュックに思いっきり詰め込んで帰った。



 離れに戻ってエルゼとレミリアにリュックを渡すと

「これは、毎回お土産あるんじゃないですか」

 と、笑っていた。



明日も更新できると思います。

是非読んでいただければと思います。


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