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アルフォンス視点回になります。


 王宮に戻り、陛下の執務室に向かう。テオにカールを通じて予定を確認してもらってあるからこの時間なら面会者もおらず、執務室にいるはずだ。


 前に着き扉をノックするとしばらくして中からカールが出てきて招き入れてくれた。


「お疲れ様でございました。大丈夫でしたか?」

「私は全然、陛下は?」

「いらっしゃいます、どうぞ」


 奥の部屋まで入る。執務机に座っている陛下と、その前の椅子にルカリスティア公爵がいた。


「父上もおられたんですか」

「ああちょっと用事があってな。どうだった空の旅は?」

 とにこやかに聞かれた。公爵の向かい側の椅子に座るとカールがお茶を出してくれた。


「素晴らしい景色でしたよ。あの後広場の方は大丈夫でしたか?」

「ああ、皆お前たちに釘付けになっていたよ。最高のお披露目になったな」

「レーツェルが資料を隅から隅まで読んでくれたおかげです。確かに乗ると移動時間はかなり短縮できます」

「それは助かるだろうがレーツェルに負担はかからないのか?それが一番心配なんだが」

 と、公爵が聞いてくる。


「今日の所は大丈夫そうでしたが…一応後で回復魔法かけておきます」

「そうしてやってくれ。あの娘は我慢強いから酷くても自分からは絶対言わないからな」

 公爵としてより父親としての目線だ。


「で、今度からは乗って移動するの?」

「考え中です。確かに視察や点検に行くには助かるのですが、問題が一つ」

 問題?と2人が見てくる。


「乗って移動となると多分離れから出発して離れに戻ることになると思うのですが、そうするとレーツェルが『竜化』のままずっと、と言うことで」

 負担が大きいのでは、と。

「でも途中で『竜化』を解くと今度は着替えが問題でして」


「……あー、そうだね…」

 陛下も同意する。

「まあ視察場所まで行って『竜化』して乗って帰るのがいいのか……考え中です」


 多分今までは男性が『竜化』していたから、レーツェルほどは悩まなかっただろう。男性ならまあどうにかなるかなとは思う。


 が、何せ初めての女性の『竜化』だ。何事も手探りだ。

 アルフォンスとしても他の人の前でレーツェルの『竜化』を解く気もない。


 ベルンハルトが思いついた様に

「アルの魔力というか魔法で何かできないの?脱いだ服を小さくして持つのはできるんだろう?」

「それはできます」

 今日もしたけど、そこにある物を小さくしてポケットなどに入れて持ち運ぶのは普通にできる。そして元に戻すのも。

「だったら、こう、なんていうか、レーツェルが戻ると同時に服も戻して着せる?みたいな」

 感じでさあ、と考えながら言ってくる。


「………確かにそうですね。何とかなるかも。ありがとうございます兄上、ちょっと試してみます」

「せっかくの魔力、レーツェルの為に使わないと勿体ないしな」

「そうですね」

「レーツェルのこと、頼んだぞ」

 と公爵が立ち上がりながら言ってくる。

「では私は戻る。何かあったら連絡くれ」

 わかりました、と陛下が公爵に返事する。

「私も自分の執務室に戻ります」

「仕事終わったら離れに戻るの?」

「はい、今日からはそのつもりです。何かあったらテオに」

 言ってくれれば、と。


 わかったよ、仲良くね、と送り出された。


 公爵と並んで歩く。


「そういえば一つ聞きたかったんですが」

「何だ?」

「レーツェルを見つけた森ってどこです?」

 一瞬、公爵の目が丸くなったが、すぐに戻り


「……公爵領の東の森だ。退位する時に譲り受けて管理下に置いたから、誰も入れないようにしてある。動物達もそのままだ。お前達二人なら好きな時に入ってもいいぞ」

 まあレーツェルがいれば辿り着けるかもしれんな、と教えてくれた。

「レーツェルが行きたいと言ったらですがね。今度ヴァイツェンの所に行くのでその帰りでも」

 行きたいと言われたら行ってみます、と。

「ヴァイツェンの所まで来るんだったらうちにも顔出せよ、お茶くらい飲んでいけ」

 わかりました、と答えるとじゃあな、と手を挙げて出口の方へ向かって行った。


 アルフォンスも自分の執務室に入る。しばらく書類を見て片づけているとノックの音がした。

 テオが確認しに行くと招き入れるのが見えた。カイルだった。


「先程振りだな、どうした?何かあったか?」

「いや、忙しい所済まないな。アメリ嬢の件、早い方がいいかと思って」

「そうだな、彼女も気にしているだろうし」

「で、明日でもいいか?」

「明日?」

 そりゃあ早いな。

「早すぎるか?」

「いや、……その方がいいか。じゃあ明日で」

「じゃあアメリ嬢に伝える。どこに行くように指示すればいいんだ?直接は無理だろう?」


 アルフォンスはしばらく考えて、テオに確認を取る。


「では10時に王宮から奥庭に出る場所に。テオに迎えに行かせる。そしたら入れるはずだ」

 テオも頷いている。

「わかった。そのように伝えておく。テオ殿よろしく頼む」

 テオがお辞儀をすると、じゃあ行くわとカイルが出ていく。


 いくつか書類に目を通し、サインをし、返事を書いたりしていたらあっという間に夕方だ。


 そろそろ戻るかとテオに明日の確認をし、執務室から出て奥庭に向かう。


 奥庭を抜け離れの方に向かって歩く。レーツェル達が植えた植物達が綺麗に咲いている。


 入口の扉を開け、ただいま、と言いながら中に入る。エルゼとレミリアがおかえりなさいませと迎えてくれた。あれ?と思って聞いてみた。


「レーツェルは?」

「それが……」

 エルゼが言いにくそうに

「お昼寝から起きていらっしゃらないのです」


 へ?私が行ってから三時間くらい経ってるよね?


「私が行ってからずっと?」

「いえ、アルフォンス様の荷物を片づけてからなので」

 それでも二時間は超えている。


 そっと寝室に入ると確かにベッドの上で可愛らしく丸まっている。


「今までこんなにお休みの事ってなかったので」

 何かあったんでしょうか?とエルゼもレミリアも心配している。


 アルフォンスがそっとベッドの端に腰掛ける。それでも起きる気配がない。

 確かにいつもと違う。ここまで近づいたらいくらなんでもレーツェルなら気づいて起きるはずだ。

 あまりにも無防備すぎる。アルフォンスだからというのもあるかもしれないが。


 おでこに手をあててみる。熱はない。息も規則正しく音がする。深い眠りなのか。


 「あの娘は自分からは絶対言わない」


 急に父上の言葉を思い出し、もしかしてと思い、レーツェルの身体全体に回復魔法をかける。それも少し強めに。


 かけ終わるとほぼ同時にレーツェルの目が動いた。


「……ん?」


「目が覚めた?レーツェル、大丈夫?」


「アル……?」

「うん、ごめん気づかなくて。負担かかってたみたいだね。今、回復魔法かけたから」

「……回復?私、そんなに……」

「うん、疲れは感じてないかもしれないけど、身体自体に負荷がかかってたんだよ。無意識に眠って治そうとするくらいにね」


 ガバッとレーツェルが起き上がる。


「私、どれだけ」

 寝てたんですか?と。

「急に起き上がったらダメだよ。二時間くらいかな、近づいても起きないくらいに深い眠りだったね」

「すみません、あの」

「謝ることなんてないよ。眠って治るなら大丈夫だけど。でも今度からは『竜化』したあと必ず回復魔法かけるからね」


 多分本人も疲れていることや負担がかかっていることには本当に気付いてないのだろう。起きている間はいいが、横になると身体が無意識に休息を取らして回復させようと深い眠りに落ちるのだろう。

 

 ――――あまりにも無防備だ。



 契約者しか『竜化』を解けないのは、戻った直後を護るためでもあるのではないだろうか。

 レーツェルの最初の時もそうだったが、攻撃など力を使うと戻った途端、気を失うこともあるぐらいだ。

 

 あの時は初めてだからと思ったが、そうではない可能性もある。今日みたいに飛行だけでもやはり負担はあるはずだ。

 深い眠りに落ちている間、その身を護るのも契約者の役割なんだろう。


 こちらを見上げているレーツェルを一度ギュッと抱きしめる。


「あ、アル?」

「……絶対、護るからね」 


 その言葉を聞いたレーツェルもギュッと抱きしめ返してくれた。


 そして今朝と一緒でお姫様抱っこでリビングまで運ばれたのは言うまでもなかった。

 



  


本日もご覧いただきありがとうございます。


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