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 アルフォンスが浴室から戻ってきた。


 王宮侍女達が何人か箱を持って入ってくる。アルフォンスが

「そこに置いておいて。後は大丈夫だから」

 と、告げると侍女達は一礼して部屋を出ていく。


 本来なら侍女に手伝ってもらって着替えるのだろうが、レーツェルは自分一人でも出来るし、さらにアルフォンスという専属美容師もいる。アルフォンスも自分で着替えられるから、侍女達からしたら仕事をさせてもらえない王族だろう。


 アルフォンスが箱を開けて中を確認して、ドレスを出す。

「はい、レーツェル」

 と、濃い紫色のシンプルなラインのドレスを渡してきた。

「ありがとうございます」

 アルフォンスの寝室に移動させてもらって着替える。

「一人で無理だったら呼んでね」

 と、ニコニコ顔で言われ、扉が閉まる。


 『竜化』することがわかっているので、面倒くさいコルセットとかは無しなので一人でも大丈夫そうだ。


 スレンダーラインのドレスで肩を出すタイプなのであまり難しく考えずに着られるので有り難い。


 問題は背中の留め具だ。普段着の場合はなるべく前で留めるタイプの物を着ているのだが、こういう公式の場のドレスはまず背中だ。


 微妙に届かない場所がある。どうしようか悩んでいると、扉がノックされる。


「レーツェル、出来た?入るよ」


 待って、という間もなく入ってくる。まあいいんですけど。アルフォンスももう黒いシャツとパンツと今日も黒ずくめに着替えていた。


 背中に手を伸ばしている状態の所だったので、一目で気づいたらしく、すぐさま後ろにやって来る。


 クスクス笑いながら

「呼んでくれたらいいのに」

 と、言いながら留めていってくれる。

「……すみません」


 着終わって、隣の部屋に移り、椅子に座って髪の毛を整えてもらう。

 

 左側の髪の毛を纏めて右側に流している。左耳と紋様が全開である。

「もう出してもいいからね」

 なんだか楽しそうである。

 アルフォンスもよく見れば右耳にかかる髪の毛を後ろに流して全開である。

「そういえばヴァイツェンから大体解読できたと連絡あったから今度聞いてこようね」

 と、言われた。

 

 ドレスと同じ色のリボンを絡めながら仕上げてある。本当に見事である。

 アルフォンスも長衣を羽織り、黒色の手袋をはめる。私にも薄い紫色のストールを掛けてくれた。


 じゃあ向かおうかと右腕を出してきたので左腕をからめて

「本日もよろしくお願いいたします」

 と、言うとアルフォンスも笑顔で

「こちらこそよろしく」


 二人並んで廊下を歩いてお披露目のバルコニーのある部屋まで移動する。

 途中廊下で警護の騎士達とすれ違うと皆、おめでとうございます、と温かい言葉をかけてくれた。


 部屋の前には正式な騎士服姿のカイル様が他の騎士達と立っており、こちらに気づくと向かってきてくれた。


「アルフォンス殿下、レーツェル殿、この度はおめでとうございます」

「お前にそんな畏まられると変なんだが」

「だって今日は王弟殿下で契約者、そして竜王だろう」

「今までと同じでいい。なあレーツェル?」

「はい、是非レーツェルのままでお願いいたします」

「それでいいなら。そういえばアメリ嬢のこと、ありがとう助かった」

「ああ、うまくいったようで良かった」

「彼女も残れて喜んでいた。また連絡するから是非話を聞いてやってくれ」

「なるべく早いうちに呼びたいから彼女に休みを頼む」

「分かった、調整する」


 話がついた所で扉をノックする。中からイーヴォ様が開けてくれた。


「どうぞ皆様お揃いです」

「すまない、遅くなったか」

「大丈夫です。まだ時間まで少しありますから」


 中に入ると陛下と王妃、エルヴィン殿下とルカリスティア公爵と公爵夫人が座っていた。


「二人とも体調は大丈夫?」

 陛下が声をかけてくる。空いているソファを勧められたので二人で並んで座る。

「大丈夫です」

「なら良かった。しかし、アル、今日から解禁だと思って浮かれてないか?」

 その髪形と耳環、とすぐさま突っ込まれました。

「浮かれてますよ。当たり前じゃないですか」

 ……否定しないんですね。

「まあ、いいけど。レーツェル、よろしくね」

「だ、大丈夫です」


 皆がクスクス笑っていると、アルフォンスが

「そういえば皆にお願いなんですが」

 何だ?と視線が集中する。

「私のいない所でレーツェルにお酒(アルコール)飲ませないでくださいね」


 ――――それか………。


 恥ずかしくて下を向いた私の態度でわかったのか、王妃様が

「何?レーツェルが何かしたの?」

 エルヴィンも気がついたのか

「あ、もしかしてあの果実酒飲んだ?そんなに強かった?」

 贈り主として責任を感じられても困るので、

「いえ、とても甘くて美味しかったんです。私が弱かっただけでして……」

「うん、そんなに強くはなく美味しかったよ兄上。ただ思ったより」

 レーツェルが弱かったんだ、と。

「そんなに?」

 と皆の視線が集中する。アルフォンスが

「2口」

「え?」

「2口で酔っ払って、記憶がないんだ」


 沈黙。皆の視線が痛い……。


「「えー!」」


「2口か…それは飲ませない方がいいな」

 と公爵が言うと夫人も

「そうね、その方がいいわ。レーツェルはこれからも果実水ね」

「よろしくお願いします」

 頭を下げると、陛下が

「飲ませないのは了解したけど、ちなみに飲むとどうなるの?体調的にはどうなの?」

 自分ではわからないのでアルフォンスの方を見る。


「体調的には大丈夫そうです。寝て起きたら頭痛もなかったみたいですし、残ってもなさそうでした。飲むとどうなるかは……秘密です」

「えー何それ、何かズルイぞ」

「まあ強いて言うなら、可愛くなる、ですね」

 もう下を向くしかない………。

 

「へぇ~」

 レーツェルが、と皆意外そうに頷く。

「見てみたい気もするけど、アルが怖いから止めておくよ。さあそろそろ時間かな」

 とイーヴォ様に確認を取る。


 バルコニーに繋がる窓が開け放たれる。


 ―――――歓声が聞こえる。


「天気も良くていい日だね、絶好のお披露目日和だ」

 陛下が言う。


 「さあ、行こうか!」


 皆、頷き、立ち上がって、バルコニーに向かう。










本日もご覧いただきありがとうございます。

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