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アルフォンスがレミリアと一緒に部屋に戻って来て、嬉しい知らせを聞いて、今日の予定はこれで終わりかと思ったら何故かアレクシア様とカリア様、レミリアに腕を取られて隣の部屋に連れられてきてしまいました……。
アルフォンスには待機とか言ってらしたし、一体何があるのか。そうこう思っているとアレクシア様が
「今日はこの後護衛とか訓練とかの予定はないんでしょう?」
「はい、今日は無いですが……」
ニコッと微笑まれたアレクシア様を見て、あ、これはなんだか嫌な予感……。
「んじゃあ遠慮なく取り掛かってちょうだいな、カリア、レミリア」
その言葉と同時に二人が動き出し、来ているドレスを脱がされる。
「?え?!」
「まあまあレーツェルはそのままで。二人に任せて」
楽しみだわ〜とご機嫌な声を出すアレクシア様。
もう諦めてされるがままとはまさにこの事かと思う自分がここにいた。
しばらくすると出来上がりましたとのカリアの声が聞こえて、鏡を見ると普段とは違う感じの自分がそこにいた。
いつもは護衛などの関係で足などに短剣などを仕込むためどうしても取り出しやすいようにスカートはボリュームが無いものが多くなる。
まだ社交界デビューもしてないため、舞踏会にも出たことがないのでそういう魅せるためのドレスははっきり言って着たことがない。
それに背が高いので大人っぽく見えるため、可愛らしいデザインが似合わないと思っていた。どうしてもタイトなデザインの物を選んでいた。
だからこういうパニエを履くということはなかったし、細かい花柄のレースたっぷりのドレスというのも着たことなかった。
色も赤色だか明るい赤ではなく少し黒みの入った抑えた感じの赤色の生地で白い細かい花柄の模様が入っていて、同じ生地をレース状にして使っているため、派手にゴテゴテした感じにはなっていない。
しかも私のサイズぴったりの長さで、それに合わせてレースが飾り付けされているため、とても整ったデザインになっている。間違いなくオーダーメイドだ。
しかし、どこで私のサイズを?と思っているとアレクシア様が
「どうかしら?たまにはこういうのもいいでしょ?うん、似合うわ」
「あ、ありがとうございます。でも私のサイズ……」
「アルフォンスの頼むお店ぐらいお見通しよ」
にっこりと微笑まれました。
――はい、権力ってすごいですね……。
ささっと髪にも同じ柄のリボンをつけられて、
「はい、完了。さあアルフォンスの顔が見物だわ」
行くわよーとアルフォンスの待つ部屋への扉を開けられた。
「できたわよ」
と、アレクシア様がアルフォンスに声をかけているのが聞こえる。着たことないタイプのドレスなのでどう思われるか少し恥ずかしかったが仕方ない、覚悟を決めて隣の部屋へ歩き出す。
アルフォンスの顔が目に入る。こちらを見て固まっているような……。動きや言葉がない。
「……あの、アル?……どうでしょうか?」
変ですか?と声をかけると
「……いや、……ちょっと、待って…」
と、口元に手をあててこちらをジッと見つめている。動かない。
「どう?」
アレクシア様が自信に満ちた表情でアルフォンスに声をかけた。どうしよう、やっぱり似合ってない?とか考えていると
「……流石母上、可愛すぎませんか……?」
「でしょう?可愛いでしょう?」
あなた達もそう思うでしょう?とカリア達にも聞いてみる。
「凄くお似合いだと思います。色もこの色で正解でしたね」
「レーツェル様は何を着てもお似合いです」
いや、レミリア、なんかそれ違う……。
「このタイプのドレスも絶対似合うと思ってたのよね。いつものタイトなタイプもいいんだけど、このフワッとしたタイプもいいわ、身長がある分映えるのよね。是非ともワードローブに加えて欲しいわ」
ノリノリのアレクシア様である。なんだかディートハルト様を呼んできてとか聞こえたし……。
しかし、目の前のアルフォンスが微動だにせずこちらを見ている。
「……アル?」
「うん、凄く似合ってる。ごめん、今まで動きやすいし、武器の関係もあったからタイトな物ばかり選んでたけど、これからはこのタイプもどんどんいこう、うん」
と一人で納得してます。いやいや、そんなにいりませんから、と慌てて止める。
「大丈夫よ、とりあえずここに3着ほど準備したから持って帰ってね。で、お願いなんだけど、この箱のはいいと言うまで着ないで持ってて欲しいの」
よろしくね、と念押しされた。
ノックの音が聞こえて、公爵がマルク様と共に入室してくる。
「これはこれは。いつも綺麗だが、これはこれでとても可愛いな」
「でしょう?私の見立ては正しいでしょう?」
是非とも王宮に戻ったらユーリアにも見せてあげて欲しいわ!とはしゃいでいるアレクシア様にはもう誰も逆らえません……。
この後、馬車に箱を沢山積まれて、ああ馬じゃなくて馬車でこいとはこういうことだったのかと納得し、アルフォンスと二人、王宮に戻った。
戻ってから、せっかくだからとアルフォンスがユーリア様にお伺いを出したら、すぐさまOKの返事がきたので、いつにも増して周りの奇異な目に晒されながら王妃様の執務室に二人で向かった。
部屋に入った途端、お義姉様の声が響いたのはいうまでもなく、その後ユーリア様に何をおいてもくるようにと伝言を受けた陛下とエルヴィン様にも抱きつかれんばかりに可愛いとお褒めの言葉をいただき、今日一日で何年分照れたがわからない自分がいた。
王妃様の執務室から離れに戻ると今度はエルゼからも素晴らしい、さすが公爵夫人、わかってらっしゃるとお褒めの言葉をもらった。
馬車から下ろした沢山の箱をとりあえずクローゼットに置いて、リビングに戻りエルゼに今日あったことを報告する。
レミリアがここに来てくれると伝えると嬉しそうに、それは助かります、部屋の準備しないと!と喜んでくれた。
「じゃあ明日は午後からになるけど王宮図書館に行ってみる?一度一緒に行けばレーツェルなら行き方覚えるだろうし、次回からは私が執務で行けなくても好きな時に行っていいからね」
それは願ってもない申し出だ。貴重な資料を読んでみたいし、色々わかるかもしれない。
じゃあ明日のために少し仕事を片付けてくるよ、また明朝ね、とアルフォンスは王宮に向かっていった。
エルゼとレミリアの部屋をどこにしようかとか、頂いたドレスの片付けをしているとあっという間に日が過ぎていった。
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