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傾国と呼ばれた少女の最期

あるところに平民として育った一人の少女がいました。

美しく成長した少女はやがて父親である伯爵に引き取られます。

庶民出身である少女はその出自と可憐な容姿で、社交界にでるとたちまち注目を集めました。

そんな彼女に数多の貴公子たちが集まります。中には婚約者のいる高位貴族の子息もおりました。

少女は甘い声でねだります、秘密を、花を、ドレスを、宝石を。

婚約者を捨て、求められるがままに少女に貢ぎ、骨抜きになっていく男たちに周囲の人々はやがて反感を覚えていきます。


しかし悪いことは続きません。

彼女が禁忌である魅了魔法を使っていたことが判明します。

悪い魔女は捉えられ、王国は元通りになったのです。


これはそんな昔話の真実。

哀れな少女の末路。

「この、売女」「人でなし」「お前のせいで」「あんたのせいでうちの息子は」

「あばずれ」「人の婚約者を横取りするなんて」「貴様のせいだぞ」「この金食い虫」………


どうして?どうしてこうなっちゃったの?

私はどこで間違えたのかな?

言われたとおりにしただけなのに。

ただシアワセになりたかっただけなのに。



…私はちゃんとやったよ。

言われたとおり男達をトリコにして、婚約破棄させたよ。

言われたとおりあいつらを破滅させたら返してくれるんじゃ無かったの?

そのために、ねえ、私、がんばったよ。

好きでも無い男に触られても、キスされても、襲われかけても、ちゃんとガマンしたよ。

えらいでしょ?

だから早くかえしてよ。

かぁさんとおとーとをかえしてよ。

下町のあの家にかえしてよ。

ねえ、かえしてくれるって言ったよね。


…なんで私、牢屋に入れられているの?

もうすぐ処刑だよ、ってどういうこと?

私がちゃんとやったら家族3人で暮らしていいんじゃ無かったの?

もう2人とも死んでるってどういうこと?

…ウソ、ついたの?私をだましたの?


あ“ぁ”ぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいどい…….。


この人でなしっ。悪魔。畜生。**野郎。**。***。


…….あんたのこと一生恨んでやる。

死んでも恨んでやる。あんたの家族も子孫もみぃーんなみんな恨んでやる。

みんな苦しんで死ね。未来永劫苦しめ。末代まで祟ってやる。




***


中略



有力貴族の跡取りを次々と破滅させた稀代の悪女はかくて処刑された。

彼女が何を思ってこのような暴挙にでたのかは現代に伝わっていない。

しかし、彼女の死後、我が一族の者が次々と非業の死を遂げた。

当時の記録には本家の当主が「あの女の呪いだ。」と言ったことが記されている。

それが何を意味していたのか今となっては不明である。稀代の悪女「マリア・ルイーサ・デボワ」が何らかの形で関与しているのであろうか。


                           とある伯爵家の記録より




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