7、テストと復讐
「うわぁ。女とペアとか終わったわ。」
「女が政治とかウケる。分かんのか?」
「女が計算出来んのか?電卓持ってきてやろうか?」
「漢字書けますかぁ?」
私とサムはひたすらに耐えた。数日、数週間、毎日毎日午前中a,b,c,dの馬鹿共は入れ替わり立ち代わりに冷やかし馬鹿にしてきた。だから私達は復讐を誓ったのだ。サムと勉強をして復讐すると。だから昼休みも勉強し、漫研でも先輩方に特に政治を教えて貰いながら絶対にトップをとると決めたのだ。赤髪、青髪、胡瓜、童貞を地面にひれ伏せさせると!
学期は1~3学期制で中間テストと学期末テストが計6回ずつ。まずは1学期の中間テストだ。絶対に目にものを見せてやらぁ。やったんで!
特進コースは60人と一般教養コース120人別々に貼り出される。特進コースは勿論あの4教科のテストだ。
そして中間テストの順位が掲示された。
中間テスト 特進コース
1、アンリ・ハント 395点
1、サマンサ・タウンゼント 395点
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42、アラン・ソート 289点
43、ブルガ・ネル 286点
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56、カッパー・スート 245点
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59、ダブル・ストレート 215点
やったぞ。あのa,b,c,d共に勝った。そうa,b,c,dは頭文字をとっただけ。ブハハハ、ブハハハ。特進コースと一般教養コースは別の場所に掲示されているので周りには特進コースの生徒しか居ない。サムと顔をあわせて喜ぶ。
「まじかよ。女が1位。」
「信じらんねぇ。」
「あいつら貴族だろ金握らせてんじゃね。」
「あーあ、俺も貴族ならなー。」
よし。処す。横のサムも悲しい顔をしてるしあいつらに今日は言う。多分これまでずっと黙ってたから何も言わんと思ってるな。
「いやもしかしたら色目つかってんじゃね?」
はいカッチーン。
私は人を掻き分けて馬鹿4人の前で止まる。4人はニヤニヤとしながらコソコソとまだ何か言ってる。
こいつら…ほんまに。処す。
「おんどれらええ加減にせえよ!何をわんわんわんわん吠えとんねんコラァ!負け犬の遠吠えけ?分かったかお前らはわしらの下や!実力で負けた癖にぺちゃくちゃ言うな!それともやるけ?喧嘩するけ?表出ろや!来い!」
と4人を睨むとびくりと体を震わせている。
「あの、いや、喧嘩はちょちょ、ちょっと。」
「違うんですよ。ちょっとからかっただけじゃないですかぁ。」
「本当ですよ。やだなぁ。」
「あのぉすみません。」
「よーしじゃあこれからはいちいち突っかかってくんなよ。それと私の事は誰にも言うな。分かったな?」
「「「「はい!」」」」
と叫び蜘蛛の子を散らすように走っていった。サムの方を見ると微笑んでノートに何か書いている。
アンリありがとう!これからも勉強頑張ろうね。
「うん!頑張ろ!」
「ああ、貴方今日クラスメイトを脅したって噂になってますよ。」
漫研で漫画を読んでいると会長が胡散臭さ300%で微笑んで言った。漫研には会長とグレアム氏しかおらず私も適当に座って少女漫画を読み始めようとしていた時だった。
ど、ど、ど、どうしよう?あいつら早速。やっぱり息の根を……。
「で、どうなんですか?やっぱり貴族様は脅しを使うのですか?」
「はーん。いやぁあれは、ほんまにちゃうんすよ。あのぉほんまにちゃうんす。あれは喧嘩とかするつもりなかったし。いやぁなんの事かサッパリだお。」
「えっ喧嘩?家の名前で脅したのでは?」
「えっ?家の名前?」
2人で?となっているとグレアム氏が話に混ざってきた。
「あれぇ会長知らないの?ハント氏は家の名前など出してないでござるよ。君の嫌いな脅しはしてないでござる、仕方ない拙者が音声を聞かせてしんぜよう。」
グレアム氏が不思議な事を言い出す。
「音声?」
「あれ知らないのハント氏、その端末は授業の内容を復習できるように好きな時に音声を録音できるよ。そしてうちの弟がハント氏の音声を録音してて拙者に送ってきてくれたでござるよ。」
そしてニコニコとグレアム氏が私の怒号を流し始めた。会長は終始ニコニコと胡散臭さ300%の笑顔で聞いている。お願いもうやめて私のライフはゼロよ。
「貴方は本当におかしな人ですね。僕、嫌いじゃないです。」
「あははははは。笑」
「口で笑って言う人初めて見ました。」
「拙者も。」
「おふたりぃー記憶を失うのにパンチとキックどっちがいいですかぁ?アンリ決めて欲しいなぁ。」
「ふふふっ初めてのぶりっ子がそれって貴方本当に。」
会長は笑いすぎて涙を流している。グレアム氏は冷静に、
「拙者はどっちも嫌でござる。他言せぬので許して欲しいでござる。」
と言った。
部屋に戻るとハンナが辛そうにベッドに座っていた。
「ハンナどうしたの?しんどい?」
「あっううん違うの。ちょっとね。」
「何かあった?テスト?」
「うーん。あのね一般教養コースにあのテチカ・イダさんが居て、転移者っているだけで周りに幸運をもたらすって言われててだから皆ちやほやしてたんだけど。彼女ちょっと性格があれで今は避けてる子も居て、でも転移者の機嫌を損ねると災いが起こるって言い出して仕方なく皆言いなりになってるの。」
「ええっ!そうなの?転移者って凄い人なんだね。ハンナは大丈夫?」
性格が悪いと大変やなぁ。でも転移者ってそれこそ天使みたいな子が選ばれる気がしてたのに、知らんけど。
「うん私は何となく最初から関わらなかったから。クラスも別だしあんまり関わらないようにしてるの。でも知ってる子が今日少しだけ突き飛ばされちゃって。」
「そっか。怪我は?」
「うんそれは全く大丈夫!」
「うーん災いとか言われたら怖いし、そっとしとくしかないかな?」
「うんでも聞いてもらえて良かった。放っておく。」
「そうねじゃあご飯行ってくるね。」
「うん。行ってらっしゃい。」
「転移者は幸運をもたらすと言われてるけど、災いは知らないなぁ。そんな事言ってたの?」
「うんそうみたい。怖いわ。」
結局夕食はいつも芝生で彼と一緒に食べている。ジョンと呼んでと言われたのでジョンと素直に呼んでいる。ジョンはこの時間になったらいつも現れて私が買ってきたご飯を食べる。たまに私より先に居てご飯を買っておいたよと言ってくれる時もある。でもお茶とキャンドルは絶対にジョンが持ってきてくれる。今日は私がカレーと牛丼とピクルスとバターコーンを買ってきた。私はカレーとピクルスを彼は牛丼とバターコーンを食べている。3週間程夕食を共にしているので一口ちょうだいも慣れっこだ。
早速彼に転移者の話を聞いてみた。
「うーん災いかぁ調べとくね。それより特進の友達に聞いたけどいじめっ子に喧嘩売ったんだって?」
「喧嘩って。でも腹が立ったから。私もサムも実力なのに…。ああサムって私の友達ね。」
「友達…。ありがとう。」
「えっ?」
「ううんなんでもない。僕も友達?」
「うん!夕食友達。あれでも男子寮ってご飯が出るはずじゃ?なんで?」
「ああ僕すぐにお腹が空くから。」
「あー育ち盛りだ!私もそう!」
「うんだからこれからもよろしくね。」
「うんこちらこそ。」
夕食友達ゲッツ。ジョンは1年生で一般教養コースとは言ってたけど学校では見た事ない気がする。まあでも関わりはないし仕方ないか。その後2人で並んで星を見てから部屋に戻った。