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5、夕食はなし


「ああおかえりアンリ。」


「ただいま!ハンナは部活決まった?」


「うん色々回ったけどやっぱり家庭科部かな?料理好きだから。」


「そうなんだ!いいね!私は漫研にしたよ!」


「漫研?漫研って何?」


「えっ!漫画研究会。」


「漫画?研究?」


「そうだよ!楽しいよ!」


「そ、そっかぁ。う、うんいいと思う。自由だし。」


「うん!ていうかさ昨日から思ってたんだけど夜はご飯を食べないの?」


「ああ、うん。…女子は皆…やっぱり…痩せたくて食べないから…女子寮は夕食が廃止になったみたい。この学校は女子は特に…あれだから…普通の学校とは違うね。男子寮は夕食があるよ!」


「ええっ!若いねんから大丈夫やって。代謝もいいし消費カロリーも多いし。食べ過ぎなければ太らないし。えー5年間夕食なし?男子寮に引越ししたい。」


「えっと購買は開いてるよ!」


「ええっやったー行ってみる!」


「うん私はお風呂に入るね。」


「うん分かった。」



そして真っ暗の中あの気持ちいい芝生に座って購買で買った食べ物を広げる。


「多分お嬢様なら絶対に行儀が悪いし外聞が悪いって言われるけどこんなに暗いならバレへんし最高!」


コロッケパン、唐揚げ丼、エビサラダ、ハムサンド、焼き鳥、日本食ばかりなのが嬉しくてたくさん買い込んでしまった。そういえば食堂も日本食ばかりやったけど人は日本ぽくないし不思議やなぁ。

焼き鳥を頬張った時後ろから声をかけられた。


「何食べてるの?」


「ひ、ひゃーお化けー。」


それでも焼き鳥は落とさない。


「ごめん脅かしちゃったね。」


「ヒト?」


「うんそうだよ。あれ昨日の?」


「ああ寮までの道を教えてくれた!ありがとうございました!」


「いいえ、って何か食べてるの?暗くない?キャンドルあるよどうぞ。」


と言って危なくないように蓋の開いた瓶に入れて火を付けてくれた。彼の顔がキャンドルに揺られて見える。優しい雰囲気の穏やかな爽やかイケメンだ。やっぱりこの世界は美男美女以外抹殺されてる?

彼は学内で初めて見る制服を着ていない子供で何者か不思議だがあえて何も聞かなかった。


「あのこれどうぞ。昨日と今日のお礼です。」


コロッケパンを渡す。


「いいよって言おうと思ったけど。お腹が空いてるからいただこうかな。」


コロッケパンを受け取り私の隣に座る。


「どうぞどうぞ。」


「じゃあいただきます。」


コロッケパンをちぎって食べ始めた。そっかお行儀的にはパンはちぎるもんだった。


「美味しいなぁ。丼も食べよ。」


「そういえば君は夕食を食べるんだね。」


「ええ、だってお腹が空くから。」


と笑うと彼も笑って、


「確かに。」


と言ってパンを食べる。結局焼き鳥とサラダをわけっこして食べた後星を見ていた。


「ありがとう美味しかった。」


「いいえどういたしまして。星が綺麗やなぁ。もうここで寝たいなぁお腹いっぱいやし。」


少し寝転ぶ。ふわーと欠伸をすると彼が小さくえっと言いびっくりした後笑った。

そっかお嬢様、お坊ちゃま学校やった。やばば。


「おほほほ御機嫌よう。」


私お嬢様言葉これしか分からんわ。つら。


「ふふふっ、いいよ急にぶらなくても。」


でもさすがにいたたまれなくて言う。


「あははははは、じゃあそろそろ部屋に戻るね。」


立ち上がると彼も立ち上がり少し名残惜しそうにじゃあと笑顔で言ってどこかへ行ってしまった。


「ぶはははは。やっべぇっぞ。気を付けよさすがに気をつけよ。ふぁーやばば。」


でも毎日ご飯購買かぁ。自炊かぁ。ぐぬぬ食堂開いてないかなぁ…。とぼとぼと寮まで歩いて帰った。


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