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23、孤立


3学期が始まるとやはりいじめは激化し、物が無くなったり怪我をさせられそうになってしまった。一度、水をかけられた時、キレて相手を追いかけ回し胸ぐらを掴み怒鳴り散らしたら表向きは何もしてこなくなったが、物が無くなるのと噂と陰口だけは今も続いている。

休み期間明け直後はいつも通りドライ氏と一緒にいたが、そんな事はお構いなしに貴族の女生徒がわざわざ特進コースの方まできて嫌がらせをしにくるのが辛くうっとおしかった。午後からの授業ではハンナと居たのだが、3学期が始まって2週間後に、


「婚約者が結婚しようって言うから学校を辞める事になったの。」


と辞めてしまった。なんでも上位の貴族に運勢的に今月、婚約すると幸せになれるからと圧力をかけられて断りきれず婚約者が本当に申し訳ないと謝ってきたらしい。荷造りをしている彼女に私が、


「本当に良いの?勉強も全て。まだ10代だよ!」


私が言うと手を止めてとても穏やかな表情で言う。


「私は彼が大事だから彼がそう決めたなら良いの。」


私はそう、と言い荷造りを手伝う。そうして一人部屋になってしまった。なんだか本当に一人になってしまった気がして落ち込んでいるとサムが笑顔で傍に居てくれた。

サムの傍はとても静かだった。サムが余計な事を話さないというのもあるがサムやランバート、ホルトが一緒だと女生徒達は嫌われたくないのか私に嫌がらせをしてこないのだ。会長の事で弱って傷付いた私は自分で解決する事を諦めその平穏にしがみついてしまった。私がいじめられる原因を作っている3人なのに一緒にいればいじめられないなんて皮肉だ。


ランバートとも仲直り?したし。

ランバートが3学期始業式の日に私を呼び出し、


「本当にすまなかった。貴方に乱暴し刃物を向けた事謝っても許されないが謝らせてほしい。本当に悪かったと思っている。」


深く頭を下げてきたので、


「私も蹴ったりしてすみません。」


とこちらも謝った。もう別にどちらでも良かったし表向き仲良くしようとしてくれるならそれでいいかと思った。立ち去ろうとした時ランバートが包装された箱を私に差し出す。


「何かお詫びの品をと思いサムに聞いたら扇子を欲しがっていると聞いたのでどうか受け取ってほしい。きっとあのドレスにも似合うと思う。」


促されるまま箱を開けると中には黒いレースの扇子が入っていた。組長の大きな可愛らしい扇子ではなく小ぶりで上品な物だ。

彼は怒らせると面倒そうなので素直に受け取る事にした。それにあのドレスとは年越し舞踏会の話だろう会場では見かけなかったのにどこから見ていたのか…。怖い。


「ありがとうございます。大事に使わせていただきます。」


「これで許されるとは思っていない本当にすまなかった。それでは失礼する。」


という話し合い?があってから何かと気にかけてくれるようになった。ホルトは何かと2人きりになろうとして私に愛を囁く。サムとランバートが一緒にいる時は絶対に言わないのが奇妙だ。バレたくないみたいに黙っている。


漫研に辞める旨を伝える為に行くと会長だけだったので少し話をした。


「会長、私に優しくしてくれてありがとうございました。どういう形であれ傍に居てくれた事、本当にありがたかったです。1人じゃないと思えた。それは本当に会長のおかげです。」


会長はじっと黙っている。私の首元を見てまた悲しそうに俯いた。あの日からネックレスをしていない。


「どうして…どうして怒らないんですか?」


ずっと黙っていた会長が私が出て行く前に口を開いた。私は素直に答えた。


「もちろん傷付いたんですけど、でもそれ以上に会長に救われたから。慣れない世界に来た時、右も左も分からない私を助けてくれたのは会長だった。だから怒るなんて…ふふふっそんな事有り得ないんです。」


「そ…そうですか。あのっ!」


なんだか弁明の言葉を聞きたくなくて会長の言葉を遮り笑って言う。


「さようならお元気で。」


「あ、ええはい。」


会長は私の気持ちを察したのかそれ以上何も言わずに本を読み始めた。


私はしっかり勉強してあの家を出て貴族の名を捨て生きて行くと決めた。現代人の私にそもそも貴族制度は合わなかったしアンリのままで居ても辛いだけ、彼女が過去にした事は消えない手紙を書いて謝っても許されない。アンリの事を知っている人相手なら良くも悪くもいつまでも相手を疑ってしまう、だからそう決心した。



ねえアンリお昼一緒に食べましょうよ。


「サロンはちょっと。」


会長が居たら気まずいし、何より貴族の人達が怖い。


大丈夫。私ランバートとホルト3人で個室を使ってるのだから誰もいないわ。誰とも会わないの。


「個室?」


私の質問にサムが笑顔で頷く。

最近食堂に居ても何かと嫌がらせを受けるので外で食べようとしていた私には渡りに船だった。


「じゃあ行く。」


ええ行きましょう。


サロンの表からではなく裏から入り10人位入れる会議室位の広さの個室に案内される。既にランバートとホルトが席に着いていた、私とサムを見ると2人共立ち上がって椅子に座るまでエスコートしてくれる。


アンリ何か食べたい物ある?


「サムのオススメで。」


と笑って言うと少し悲しげな表情でノートに書き始めた。そして私に見せる。


最近、アンリ元気がないからお肉系にするわ。だから早く元気だしてね。


というサムの言葉に涙が出た。


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