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2、サボりは御法度


「ご入学おめでとうございます。伝統ある学園に入学されて緊張されている事と思います。寄宿学校なので新しい生活に不安もあると……。」


は?いやいやここどこ?学校?えっ?それに周りは外国の方々?一旦落ち着こ。思い出そ!

私はさっきまで12階に住んでる可愛い後輩の家で飲んでて帰るわーってなって。私は11階に住んでるから階段で降りたら酔ってたからか階段から足を滑らせて頭から手すりの外に落ちて。落ちて?落ちてるやん。12階から落ちてる!うーわ最悪や。これはあれやな死んだわさすがに。

でもじゃあここは?えっもしかして噂の転生っていうやつ?私達オタクの大好きな?死んだから生まれ変わった的な?にしては赤ちゃんじゃないし。それか死ぬ前に、地面にぶち当たる前にここへ?

周りを見ると制服を着た色んな肌色の子供がいるがアジア系は見当たらない。

わーお日本語通じる?やっと先生っぽい人の話が終わったので小声で横の女の子に話しかけてみる。


「えっと、ハロー?あー。マイネームイズ。」


いや名前はここの名前があるはず。と言いかけてやめると横の女の子が凄い怯えた目で私を見て、


「すみません!アンリ様分かりません。」


と言い下を向いてしまった。

日本語や。というか先生っぽい人が日本語やったしそりゃそうか。私も相当動揺しているようだ。こういう時は異世界に転移する妄想をって、今やん!

その時バタンとドアが開いて皆が音の方を見た。私も慌てて音の方を見ると少しぽっちゃりとした可愛らしい女の子が立っていた。その子は周りには居なかったアジア人だ。ていうか日本人ぽい?


「私は転移者ですの!異世界から来た特別な存在ですのよ!だからここにいる女性は私より目立たないように!名前はテチカ・イダお見知りおきを。」


とその女の子は叫んだ後ドヤ顔でまた外に出て行った。皆ガヤガヤと彼女の噂を始めている。テチカ・イダ。やっぱり日本人?イダさん?

あれ?でもあの子は転移者って明確に分かってるけど私は何にも分からないし最初からここに座ってたし転移者じゃない?

確かに転移者って何かしらの儀式で呼ばれて見た目もそのまま連れて来られるし。じゃあ私はモブって事?死んでしまって何かしらの世界のモブに生まれ変わった的な?ああ?謎だな。

じゃあさあ折角若い頃、しかも学生に戻ったんやから遊ばな損じゃない?損やわ、確かに前の世界に未練もあるけどほんまに死んでたら戻ってもしゃあないしそれならここで楽しく生きるっていうのは良いのでは?何も分からない世界で教育を受けながら友人を作り遊ぶ。最高では?


「よしそうと決まったらいっぱい遊ぶぞーおー!」


と叫んでしまった。案の定、周りからめちゃくちゃ見られる。色んな所からクスクスと笑い声が聞こえ指をさされる。つら。


「アンリ・ハント様今は入学式ですのでお静かに。」


後ろから先生にお小言をもらう。


「すみません気を付けます。」


と頭を下げると先生が酷く怯えながら去って行った。ええ?何あの対応?怖い。とにかく名前はアンリ・ハントと言う事が分かったので良しとしよう。


……眠い。入学式長過ぎでは?さっきから話ばかり聞いている。寝そう。いやここはお手洗いに行かせてもらって動いたらきっと目が覚めるし。

そっと手をあげるとさっきの先生が怯えながら寄って来てくれた。


「どうされましたアンリ様。」


「すみませんお手洗いに行かせていただけ……。」


「どうぞどうぞ!」


と私の話を食い気味で遮り扉を開けてくれる。いや静かに出たかったのに。恥ずかしいし。仕方ないので注目する中、体育館的な場所から外に出るとそこはやはり日本とは違う場所だった。


「いやめちゃくちゃ綺麗やん。学校お城みたいやし芝生のグランドも最高!奥は花畑が広がってるし。えー最高やん!私芝生初めてかも。」


寝たいなぁ。いやでも目立つ入学式からサボりとか…。5いや3分だけ!トイレの場所が分かりませんでした!でいける。

そっと芝生に寝転ぶとさあっと草が風に揺れる音がして心地よい風が顔に当たる。私は大きくあくびをして眠りについた。



「はっ寝過ぎた!」


目を開けると辺りは真っ暗で誰もいない。えっえーどうしよう。やばば。芝生の上で右往左往していると誰かが声をかけてくれる。


「どうしたの?」


声的に男の子だけど暗くて顔は見えない。多分相手も見えていない。


「もう入学式って終わりました?」


「え?とっくに終わってそれぞれのクラスにも行って今は皆、寮に移動して自分の部屋を確認してるよ。」


「ええっ。どうしよう!初日からどうしよう。」


「遅刻したの?女子寮はこの道をまっすぐだから頑張って。」


「はいありがとうございます。」


彼に見えるか分からないけど頭を下げて言われた道を進む。結局、寮母さんらしき人が笑顔で待っててくれて部屋に案内された。


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