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18、引き回し


「ええ…。これはどういう状況でござるか?」


やっとグレアム氏が帰ってきた!


「助けてくだされ!助けてくだされ!」


「助けなくていいですよ、悪いのは彼女なので放っておいてください。」


私は首から、私はキッドマン様の恋人です。という札を下げて正座で会長の前に座らされている。床は汚れるから仕方ありませんねと机の上だ。


「ええ…。お2人が変なプレイに目覚めたのかと。」


いや何プレイやねん。それより足が痺れてきた。


「で、僕は別に聞かなくていいと言ったのにわざわざどうもありがとうございました。ホルトと噂になっているなんて浮気ですか?」


「あれは組長が可哀想で…。」


「結局ろくな事じゃなかったでしょう。まあ僕達は愛し合ってるのでそんな噂信じませんけど。」


なんか今日はやけに愛を囁いてくるなぁ?こっちもあわせた方がいいかな?それともほんまに怒ってる?


「えっ組長?何の話でござるか?」


「大丈夫です会長一筋60年ですから。」


「何歳ですか?馬鹿ですか?」


「とにかく私はちゃんと会長が好きですから!大丈夫です。」


「へぇニヤニヤ。」


グレアム氏がわざわざ口に出して言う。シバくぞ。


「他の誰よりも僕が好きですか?」


「あ、そ、それは、ええ、あ、う。」


会長が傍に来たので会長の香りがする。そしてその背後のグレアム氏のニヤニヤに腹が立つ。


「さあ言ってください。今日はそれで許します。」


と言って離れた。


「す、好きです。いつも助けてくれる会長が大好きです。」


「続けて。」


続けて?これは何をさせられてるん?でも仕方ないまだめちゃくちゃに冷たい声と表情なので機嫌が良くなるまで言う事を聞くしかない。確かに悪いのは私やし。


「好きです。大好きです。いつも気にかけてくれる会長が好きです。」


恥ずかしい…確かにこれは何プレイ?と目を瞑って言うと微かに会長の香りがふわっと香り目を開ける。会長がいつの間にか私の近くに立っていた。そして会長が眼鏡をとって顔を近付けて私の耳元で囁いた。

いやとるな!とるな!余計に顔がいい。


「そうやって頭の中で思い続けてください。いつか、いえすぐに貴方の中で真実になる。」


ふわぁぁぁぁぁぁ。孕む…孕んでしまう。会長ってこういう時だけ声がより低くなって吐息が耳にかかって。ふわぁぁぁぁぁぁ。足も痺れてるのに腰も砕けている。絶対に立てない。絶対に立てない。怖いまだ16歳の癖に怖い。


「よろしいじゃあ立って。そのまま購買に行きますよ。」


「はい!ってこのまま?札も?」


会長に引っ張られて勢いよく立つとやはり立てない。コケる!と思った瞬間、会長が腕を掴んでそのまま腕を組んでくれる。よかった無様に転けずに済んだ。


「支えてあげますから。札はそのままです。」


「やっぱりまだ怒ってますよね?」


「ふふふっ。怒ってないわけがないですよねぇ。大丈夫、隣を歩いてあげますから。さあ行きますよハニー。」


「あ、あはははは。グ、グレアム氏!グレアム氏!」


「何をしたか知らないでござるが会長は怒ったら長いし怖いでござるよ。ハント氏しっかり反省した方がいいですぞ。後はもっと怖いでござる。」


グレアム氏が青い顔で言う。おいおいやめてくれよ後輩を脅すのは…。会長はその発言を受けても何も言わない。そのまま私は漫研の外に連れ出された。

そしてゆっくりと校内一周が始まった。最初は恥ずかしかったが色んな人に振り返られて指をさされるともうなんかどうでも良くなってきた。貴族としてこの格好は正解なのだろか?ブレザーの上に札。馬鹿が歩いているだけだ。


そうこうしている内に会長が校内のあまり人気のない所で止まり腕を離す。私も足の痺れが治まったので何とか1人で立つ。


「それにしてもランバートは何がしたいのでしょうか?」


会長が考えるように手で顎を撫でている。急だな。でもずっと考えてたんかな?


「さあ?あの人と絡んだのはあの時だけですよ。それにしても何故急にこんな所で?」


「万が一ですが漫研が盗聴されている可能性が…だから不確定な場所で話そうかと。グレアムに今確認してもらってます。」


「ええ!盗聴!私本当に何かしたんでしょうか?ランバートかホルト?」


「ふむ僕達幼馴染みなんで舞踏会のパートナーはいつも貴方だったんですけど僕と踊り終わると誰も貴方には寄り付かなかったんで舞踏会では何も無かったですね。」


「彼等は舞踏会に出てないと知っている上で私を傷付けようと言いましたね。」


「ええそうです。ホルトはあの時位ですか?僕が見かけたあの。」


「おいふざけんな…全く…ホルトはあれ以来一切絡んできません。でもランバートは私の事知ってる口ぶりでしたよね。高慢が服を着たとか。可愛いとか。」


「ええ以前の貴方を知っているようでした。という事は貴族なのは間違いありませんね。サロンで昼食をとっていますしホルトもそうでしょう。」


「可愛いにツッコミはなしですかそうですか。ふむでも何故、私に喧嘩を売ってくるんでしょうか?意味が分からない。しかも噂を流して会長と別れさせようとしたって事ですよね?」


「ええ……。もしかしたら貴方の孤立が目的では?」


「孤立?」


「ええ既に1年生女子の中では…ふっ…ほぼ…ふふっ…孤立していますし、特進コースでも友達が多い方ではないでしょう。でも特進コースではドライ君が、他の学校生活においては僕がそばに居る。ドライ君も漫研繋がりだと分かれば僕と別れさせれば自動的にドライ君も居なくなる。」


シバくぞ。


「そして私は一人に。」


「ええランバートは貴方が一人になる事を狙っているのかもしれません。やはり付き合っている演技をしている事は誰にもバレないようにしてください。絶対にですよ!」


「はい。」


私の孤立。私の孤立?会長の腕時計の端末が光る。


「グレアムから連絡が…やはり盗聴されてました。無線で聞けるようで学内なら誰でも聞けるようになっているようです。厄介な事になってきましたね。」


「会長本当にすみません。」


「僕も本腰を入れて調べてみます。」


「どうして?」


ハッとして俯く勝手に口から出ていた。いつも疑問だった会長が私の為にどうしてと。


「…いつか…教えてあげます今はまだその時ではない。貴方には必ず教えてあげます。」


俯いた私の頭にキスを落とす。


「会長の優しさに溺れそうです。」


「ええ僕に溺れてください。さあ帰りましょう漫研へ。いつも通りにするんですよ黙って漫画読んでいれば良いですから。」


「札はこのままですか?」


「勿論ですよ。」


「…やっぱり嫌いです…いけずな人は嫌いです。」


「いけず?」


「…意地悪って意味です。」


「いけず…ふふふっいけず。良いですね可愛い言葉だ。さあ戻りますよ。今まで通りあの2人には近付かない。唯一の友達ですがサムという女生徒もあまり関わらない方がいいかもしれません。」


「ええ!でもサムは特進コースの女子仲間で!唯一の友達で!良い子なんです!」


「…傷付けてしまうかもしれませんが、貴方を知ってる貴族が貴方に対して良い子なのが余計に怪しいんですよ。とにかく気を付けなさい。王子サイドは手荒な真似をして身分を明かさないようにしているようですから。」


「はい。気をつけます。」




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