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高校生、戦国を生き抜く  作者: 神谷アキ
1、戦国時代へ
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8



「ねえ、おうまさんやって!おうまさん!」



 俺はさっきからこの女の子に言われて馬になりきっている。キャッキャッと楽しそうにはしゃぐ子供は、敏之の妹だそうだ。


 村の子供に好評だったからやってみたけど、女の子でも気に入ったらしい。


 将来はおてんばな女の子になりそうだ。



「ひっっんて……」

 


 声がしてふと横を見ると、敏之は隣で腹を抱えて笑っている。そんなに可笑しかったか?



「ひひっんって……。ひひーんだってっ!!」



 さっきの俺のことだ。通された部屋に小さな女の子が来たんだけど、モジモジしてて近寄ってこなかったんだよね。


 だから女の子を抱き上げ背中に乗せてあげた。そして「ひひーん」と馬の鳴き声を真似て声を出し部屋の中を移動した。

 

 女の子は最初は驚いてたみたいけど、楽しかったらしく今も声を出して笑っている。



(それにしてもこの子の着物綺麗だな。敏之の親ってえらい人?)



「まえー! 次はみぎー!」



 考え込んでしまっていたのか、かわいらしい髪飾りを揺らしながら進行方向を伝えてくる。小さな手でパシパシと背中を叩かれても可愛いだけだ。



「瀬奈、はなしておやり。そろそろ疲れてきただろう。梅はどうしたの?」



「わかんない!おにいちゃまの声がしたから来たの」



 笑いも収まったのか、敏之が話しかけてくる。



(梅とは誰だろう。ていうか瀬奈って名前なのか)



 ろくに名前も知らず遊んでいたと今更気づいた。

ちょうどその時、



「失礼いたします。敏政様が敏之様とお連れの方をお呼びです」



 障子の向こうから声が聞こえた。背中から瀬奈を下ろし、敏之に続いて部屋を出る。

 すると、小姓らしき人と少しふっくらした女の人がいた。



「瀬奈様!」


「楽しかった!」



 そう言って女の人に駆け寄っていく瀬奈。



「だれ?」


「瀬奈の乳母である梅だ」


「これは敏之様、瀬奈様と遊んでいただき、ありがとうございます」



 頭を下げながら敏之に礼を言うが、



「いやいや、瀬奈の相手は私ではなくこちらの真人がしていた」


「そうなんですね。真人様、ありがとうございます」


「いやいや、とんでもないです!」



 急に話しかけられ、さらに丁寧に頭を下げられて恐縮しながら答えた。



「私達は呼ばれているから、瀬奈をよろしく頼む。では行こう」


「はい。失礼いたします」


「またあそんでね!」


「また今度な」



 最後にそう言って瀬奈の頭をなで、敏之の後を付いていく。俺まで呼ばれたって一体何なんだ。



 小姓も俺たちを先導しながら、チラチラと見てくる。服装だって制服は着てないからおかしくないはずだし、変なところはないはずだ。



「こちらでございます」



 たどり着いたらしく、障子の横で2人の人が控えている。



「敏之様たちがお見えです!」



 その声と同時に障子が開かれたが、目の前の光景に思わず絶句してしまった。


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