主人公、してみた
俺…死んだのか?
その割には意外となんてことなかったな。ありそうな三途の川渡りとかも無かったし…
てかこれから俺どうしたらいいんだ?
体があるような感じはするが、動けない。
とりあえず俺は目を開けた。
すると飛び込んできたのは俺に伸びてくる馬鹿みたいに大きい手。
「〜〜〜〜っ!!!!!」
俺は声にならない叫び声をあげた。
そんな俺を無視して手は俺の胴体を掴んだ。
「うわぁ!!は、離せよ巨人!!」
俺はもがくが、体は言うことを聞かない。
なんなんだこの世界は!俺は死んだんじゃないのか?!
すると次に聞こえてきたのは俺の体を掴んでいる巨人の声だった。
「なかなか質のいい剣だな。うちの息子には少し大きいかもしれないが…」
「いやいや旦那。子供の成長なんてあっという間。それならこの剣がぴったりですよ。今なら割引しますよ?」
…ん?剣?俺のことか?
いやいやいやいや、そんなことがあってたまるか。
俺は人間だ。…ついさっき死んだが。
「試しに振ってみてもいいか?」
「どうぞどうぞ。」
え?振る?
そう思った瞬間俺の体は上下に大きく動いた。
その感覚はまるでジェットコースター。いや、それ以上の不愉快感でいっぱいだ。
「そこまで重たくないし、これなら今の息子でも持てるだろう。いくらだ?」
「ありがとうございます。500シアンになります。」
おえ…吐きそう…
どうやら俺は剣として転生のようなものをしてしまったようだ。
…そういえば先日取り上げた生徒の漫画も転生の話だったような。
流行ってるのか?人を転生させるのが。
ともあれ、俺はこのでかい巨人…いや、俺が小さくなっただけか。
この人間の息子のものになるらしい。
てか転生って…
「俺めっちゃ主人公じゃん…」