信じるか信じないかは
扉を開けていたお姉さんを押しのけるようにして廊下に出る。
とにかく外に出ようと夢中で走ると目の前に扉が見え、なにも考えずに開ける。
急に明るくなった視界に目を細める。
「……外」
ほっと息をつこうとして、すぐに後ろが気になる。
誰か追ってくるんじゃないだろうか。
そんな強迫観念に襲われ、とにかく誰か人がいる方へ行こうとざわめきの大きい方に進んでいく。
自分では走っているつもりだったが、ふらふらと歩いている。
もう少しで大通りに出るというところで、目の前に人影が。
「アイナ?」
うわ!捕まる。
捕まったら拷問か?
「?」
しかし、もし捕まるなら前からでなく、後ろから声がするものでは?
それに私の名前を知ってるし、この格好はティアラではなかったか?
疑問が浮かび顔をあげれば、見知った顔がいた。
なんだアレンか、と安心するとその場にへたりこみそうになる。
「大丈夫ですか?」
「……おぇ。」
返事が返事として機能しなかった。
とにかく、移動をしようと人があまりいない、広場のすみまで移動する。
一緒にいたノアは残りの二人の回収へと向かった。
ようやく一段落といきたいところだが、なんだか自分が臭い。
あの甘い匂いが自分からする。
消臭材をぶっかけたい衝動に刈られ、さすがにそれは無理だとそこは魔法でと新たに「消臭」をイメージしながら魔法を使う。
匂いが消えると気分もだいぶよくなる。
「落ち着きました?」
「なんとか。」
「なにがあったんですか?」
かいつまんで説明する。
特に私は、戻ろうとしたんだけど、というところを強調して。
「です。」
話し終わったけど、なんだかまだ自分からあの匂いがするのではないかと袖をくんくん嗅いでしまう。
それに早く着替えたい。
「とりあえず、ノアたちが戻ってきたら、帰りましょう。……それにしても個人占いですか。」
「占いなんて多少の知識と技術と度胸があれば、はったりでなんとでもなりますけどね。」
占いなんて信じてもいないし、気にしてもいない。
よく、朝の番組で占いとか今日の運勢的なものを見てから出かけるという人もいるが、全く見ない。
それを見る時間があるなら、ギリギリまで寝たい。
占いよりも幽霊とかそっちの方を信じたいのだ。
信じているというよりも、死ぬまでに一度は見てみたいと思っている。
何を信じるのかは、個人の自由だし。