入場制限はお早めに
一瞬引くかと思われたナンパ野郎共だか、すぐに復活をとげる。
面倒だなぁ。
あ、そうだ。
思いつきで、私は自分の手のひらの上に小指の先ほどの光のたまを数個浮かべる。
光のたまは、赤青黄色緑と色とりどりにする。
そして極めつけに点滅させる。
俗に言うイルミネーションだ。
ピカピカと不規則に点滅する光のたまをみて、ナンパ野郎共が何か言おうとした言葉を飲み込んだ。
そして、
「きょ、今日はこの辺で……」
「そうそう、用事を思い出した。」
なんだか、常套句を吐き捨てると足早にさっていった。
よし。なんとかなったな。
「じゃぁ、行きますか。」
良かった良かったと、二人を見上げれば何故か微妙な顔だ。
「?」
「あとでお話な。」
「え?なんで?」
ちょっと待って。よくやったと誉められないにしてもなぜ、お話になるのか全然わかんない。
だって今回は穏便だよ?
発想としては安全第一だよ?
チラリと控える二人をみてもこちらの二人と同じ顔をしている。
解せぬ。
「と、とにかく、早く行かないと行列になるんですよねー。」
どうにでもなれという気持ちしかないので、二人をつれて店まで移動する。
店に着くと案の定スゴい行列だった。
「これに並ぶのか。」
ほら、マリンおねーさま、口が悪くなってますよ。
リジーおねーさまは、何故かノリノリで列に並ぶ。
「こうなったら楽しまなきゃ。」
さいで。
さすが、ノリのいい人種は切り替えが早い。
感動を覚えながら列に並んでいると、回転はいいようですぐに順番が回ってくる。
「お次のお客様。一名様ご案内します。」
「わ、私たち三人ですが?」
「申し訳ございません。本日大変込み合っておりますので、入店人数を管理しております。」
「え、でも」
「大変申し訳ございません。」
店員さんは、謝りながらもがんとして譲らず、それどころか開けた扉のなかに私を放り込んだ。
「ちょっ」
「ごゆっくりー!」
店内は店員のいった通り、ぎゅうぎゅうだった。
ゆっくりどころではないだろ。
どうにか前に進もうとするが、身動きが取れない。
そして、どこからか悲鳴に似た声が上がった。
「あら!あのバレッタは、新商品ではなくて?」
「これこれ。この飴を買いに来たのよ!!」
その声がした瞬間、お客さんたちの意識が一斉にそちらを向き人の流れが変わる。
バレッタに行きたいお客さんと飴を買いたいお客さん。
それに会計がしたい人などか加わって阿鼻叫喚の地獄絵図である。
うぇ。
押し潰されないようにと気持ちはあるが、無理だ。
人が多すぎて流れにのるのも無理。
とにかく、少しでもスペースの空いているところを求めて、人を掻き分ける。