甘酸っぱいってどんな味?
「でも、情報は取りに行かなきゃ手にはいらないっすよね。」
「そうだろうねぇ。」
「だからって女装までしなきゃだめか?」
「別にどちらでも。」
ただ、面白そうだなとは思うけど。
そんな邪なことを考えていると。
「わかったっす。俺たちにまかせるっす。」
急にウォルターがやる気になった。
「はぁ?俺も?」
「もちろん。一心同体!」
「お前と一心同体なんてゼッテェいやだ。」
と、リアムは言っていたが、やはり優しい彼は最終的には了解した。
そして数日後。
「本当にこれで大丈夫なのか?」
ウォルターは、ハニーピンクのストレートのかつらをかぶり、黄色のドレス。
天真爛漫なお嬢さん風。
リアムは濃紺のショートカットのかつらに紫色のドレスを着ていた。
クールなお姉さん風。
「……なんか、むかつく。」
「なんでっすか!」
はずかしいなか頑張っているのにー、とメソメソなるウォルター。
どこぞのご令嬢がさめざめ泣いているみたいに見えるのは何故だろうか。
私なんかよりずっと女の子みたいだ。
同じように二人を見ていたノアが口を開く。
「ふふ。なんかおしろいこと考えたよね。」
「まぁ、今のところうちの班の中で何とかしないといけないからな。」
「予想より遥かに上々な出来上がりでびっくりしました。」
「ウォル子ちゃんにリア子ちゃんだっけ。」
「……もっとマシな偽名を考えてください。」
「偽名なんだから何でもいいだろ?」
「えー、可愛いからいいじゃん。」
「じゃあ、副長たちも、「アレ子とノア子」で納得します?」
あれ?言いながら、私めっちゃリアムに睨まれてない?
「あー。どうせなら可愛い名前をつけてほしいかな。」
「別に可愛くなくていいので、無難な感じがいいかな。」
「じゃあさ、もう好きな子の名前を付ければいいよ。」
「すすす、好きな子って……」
「初恋でもいいけど。」
「初恋!!」
なんだよ、いちいちうるさいな。
「アイナの口からその単語が出るとは思いませんでした。」
うんうんと頷く一同。
私をなんだと思っているんだ。
「ちなみに初恋はいつ?」
目をキラキラさせてノアが聞いてくる。
「初恋ねぇ……」
私の顔をみて一同察したみたい。
一瞬にして「あっ。ごめん。知ってた。」みたいな顔になる。
つくづく私をなんだと思っているんだ。失礼なやつらめ。
だいたい、「初恋は甘酸っぱい」とか言うけど、甘酸っぱいってどんな味だよ。
私は酸っぱいものは苦手だし、甘いものもそう食べたいと思う方じゃないから、NO,Thank You!だよ。