Why ホワイト
それからまた数日後。
お使いを頼まれて街に来ていた。
たいしたお使いではなく、すぐ終了した帰り道の途中。
「あ、あんた!ちょっと。」
果物屋を通りすぎるところを店先にいたおばちゃんに呼び止められた。
「わたし?」
「そうさ。あんた。」
「えーと、なにか?」
「ちょっと、どうなってんのさ。」
「何がでしょう?」
「最近魔物が多くなってきて、うちの荷車もせ先日襲われたんだよ。」
「はぁ、そうなんですか。それは……なんと言えばいいのか……」
「そんなことよりも!!どうにかしてほしいもんだね。」
「いやまってください。何で私に?」
ヒートアップするおばさんに戸惑いしかない。
あー、帰りたい。
「何でってあんた、騎士団の人でしょ?」
「そう、でした。」
「あんたたちがちゃんとしてくれないから。これだったらホワイト会の勇者に頼んだ方が早いって話だよ。」
ん?ホワイト会?
なにその、「これだからお役所仕事は。民間のがいい仕事するぞ」的な話は。
今まで帰りたいしか気持ちがなかったが、ちょっと興味がわいてきたぞ。
「その話、詳しくお願いします。」
「おや、知らないのかい。国が招いた勇者様は使い物にならないから、ホワイト会の勇者に頼めって話。」
「まず、その『ホワイト会』というのは?」
「ホワイト会は、最近世の中物騒だろ。だから、自分達の身は自分で守ろうと立ち上がった人たちが作ったんだよ。困ったときはお互い様で助け合いするって話だよ。」
「へー。で、そこにも勇者がいるんですか?」
「あぁ、そっちの勇者のが役に立ちそうだ。」
別に役に立つ勇者がいるのなら、そっちに頼めばよくないか?
「一人よりも二人のが早いだろう?」
確かに。
しかし、勇者ってそんなホイホイ現れるものなのだろうか。
おばさんには、「上に伝えておきます。」と声をかけ、その場を辞した。
ホワイト会に民間の勇者、か。
なんか、自分からホワイトって名乗ってると、絶対ホワイトじゃないだろうとか思うのは私だけだろうか。
勇者が増えてラッキー!ぐらいな話ならいいのだが、そんな簡単な話じゃないような気がするんだよな。
なんだろう、この不安感。
ただ、私がトラブルに巻き込まれすぎて、なにかあると悪い方に考える癖がついているのか?
考えれば考えるほど、なんだかよくないことが起こりそうだ。
考えるごとをしながら歩くと下を向いて早歩きになる癖が発動し、気がつくと執務室の前まで帰ってきていた。