表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/127

【閑話】サヨナラリスト(前編)

「もう!本当にあり得ない!!」


 何時ものごとくノックもなしに現れたレティシアだったが、今日はご立腹のようだった。


「これ。超特急でやって!」


 何かの紙の束をアレンに投げる。


「は?これ、お前の仕事では?しかも、提出期限間近。」

「やって!!もう無理なの~。」


 感情の起伏が激しい人だ。

 怒った次は、泣き落としか?

 アレンは鬱陶しそうな顔で諦めたぞ。

 ノアはこの空気は気にならないらしい。


「なんでこんなギリギリになっちゃったの?」

「それが聞いてよ!ちょっと前にね、合同で仕事したのよ。そしたら、むこうが「報告書はやっておきます」って言ったのよ。なのに今日、上から「出てないぞ」って言われて。あいつに聞いたら、「そっちで何とかしてください」って。意味わかんなくない!」


 あー。そんな感じね……


「それは、ひどいね。怒るのも当然だよ。」

「でしょう?もー、ほんとにありえない。」

「その仕事をこちらに回すのもありえない、だがな。」


 三人は仲良しだねぇ。


「だから、癒してー。」

「な!ちょっと、こっちにこないで!!」


 急に方向転換したレティシアに捕まった。


「良いじゃない。すこしぐらい。」

「レティの場合は少しじゃない。」

「そう?」

「そう!!」

「仲良しっすね。」

「仲良しじゃないから。」

「えー、仲良しじゃないの?」

「……早く離れてくれないと怒るよ?」

「怒るの?でも、怒った顔も可愛いからいいの!」


 なにその、惚れた相手ならなにしても可愛い理論。


「でも、なかなか本気で怒るのも疲れない?」

「……そうねぇ。アイナはそれほど怒らないわよね。」

「いやこいつ、怒りますよ。」

「一気にドカンとくるっすね。」


 まぁ、そうだねぇ。


「小さなことに怒らない秘訣は?」

「さぁ?」

「えー、何かあるでしょう?」

「小さくはないけど、怒らずにやり過ごす方法はあるよ。自分ルールだけど。」

「なになに?」

「サヨナラリストにいれる。」

「なにそれ?」

「サヨナラリスト?」


 リストに入る人は、ものすっっごく嫌いな人。で、毎日顔を合わせるし、必要最低限なコミュニケーションをしなければならない人。

 この条件から外れるとリストから消えていくシステムである。


「そう。ちなみに今入ってる人は、ちょっと前まで入っていた人は、理不尽に説教してきた女教師とクラスメイトの戸田さん。」

「なにしたの?」

「教師の癖に私に私の話を一向に聞かず首を絞めた人。もう一人は、調理実習の買い物に来ず、当日たらふく食べたのに割り勘請求したら、「なんであんたなんかにお金払わなきゃいけないの?死ね」って言って私にだけお金を払わなかった同級生。」

「理不尽すぎる……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ