病は気から?
なんだか聞き覚えのある単語が聞こえてきて、帰ろうとしていた足を止める。
「ポイント制……男は入りにくい?」
「どうしたの?」
急に止まった私を不審に思ったノアが足を止めて振り返る。
ノアに説明するより前に親衛隊に詰め寄る。
「ちょっとその話、詳しく!!」
「え?帰ったんじゃなかったのかよ。」
「詳しく!」
「は?だから」
「く・わ・し・く!」
「なんだよ……だから最近、リン様がお気に入りのお店があって、そこに行く時の護衛が当番制なんだよ。」
「そのお店って……?」
「買い物するとポイントが貯まるみたいで最近よく買いにいってたよな。」
「でも、客は女ばっかなんだよ。」
「店の名前は占いの館?」
「たしかそんな名前だったな。」
ふむ。
「え?どゆこと?」
「別に。」
「態度悪!!」
どっちが。
「では、そういうことで。」
「は?」
「ノア、帰ろう。」
「え?僕にも説明なし?」
「ただの共通点が見つかったかもしれないって話だから。」
「共通点?なんだ、それ?」
「違ったらがっかりすると思うので、言わない。」
勝手に期待して、勝手に裏切られて、最後には責められるのだから。
ノアはそんなことないだろうが、親衛隊の方々はきっと責任を求めるだろうからな。
余分なことは言わない方が身のためだろ。
「では。」
ノアの手を引っ張って部屋を出る。
もうちょっとごねられるかと思ったが、意外とすんなりノアがついてくる。
「アイナちゃんが自発的に手を繋いで……」
「てい!!」
なんだ。その感想は!!
「あー……」
「そんな残念そうな声を出してもだめだかんな。なんだよ、その感想!」
「嬉しいなと思って。」
「あっそう。」
「で?共通点って?」
「飴。」
「飴?飴ってさっき言ってた店の?」
「そう。リリーの部屋にもまとめ買いした飴の瓶があった。でも、それだけの話であって、たまたまかもしれない。」
そう。たまたま。
しかし、女性ばかりかかる病気に、女性ばかりが通う店。
「気にならない?」
「そう言われれば、気になるねぇ。」
「でしょう?」
賛成してもらえて良かったとノアを見上げながら、ほっとして笑う。
「あー、もう可愛い!!」
「ちょっ、厚苦しい。離れて!!」
レティシアみたいにくっついてこようとするノアから逃げる。
ヤバイ。レティシア病的なものがあるのかもしれない。