探索
おじいさん先生は、次の患者がいることと他に共通点がないかを調べることになり、帰っていった。
「では。」
早速、扉を開けて中に入る。
別に変なことをするわけではないし、身の潔白を示すためにも扉を開けっ放しにしようとしたら、喧嘩するほど仲良しの彼が真っ赤な顔で「疑ってないから!!」と開け放つことを拒否するので隙間を開けての探索となった。
部屋の大きさは私の部屋とまったく一緒なのに、棚が置かれていたり、かわいい小物があったりと大分雰囲気が違う。
私は、本棚に本がぎっしりになりつつあって、困っているのだがこちらは逆に小物がところ狭しと棚に並べられている。
「意外。ピンクが好きなんだ……」
薄いピンクのリボンや薔薇のモチーフの飾りがあり、THE女の子と言う感じのものたちが一杯ある。
「元気な人だから、黄色とかオレンジが好きなのかと思った。」
一人言を呟きながら、寝ているお姉さんの顔を覗き込む。
スースーと寝息を立てて気持ち良さそうに寝ている。
「耳元でフライパン叩いたり、布団をひっぺがしても起きないのかな?」
「おい。やるんじゃないぞ。」
私の一人言にすぐさま扉の向こうから突っ込みをされた。
「やりませんよ。」
手元にフライパンないし、もしベッドから落として起きなかったら、戻すの大変だし。
「で?何か気になるものがあったか?」
「んー、特には……あれ?」
枕元の棚の上に水差しと一緒に瓶があることに気がつく。
薄ピンクの包みに見覚えのあるロゴ。
瓶の蓋を開ければあの強烈な匂いが……
「うわっ。」
「どうした?」
思わず声をあげてしまった。そして、何事かと扉の外で待機していたみんなが部屋の中に飛び込んでくる。
「いや、見覚えのあるものがあったから……」
言いながら、瓶を差し出す。
この前、試供品をもらった飴が入っている。
「あぁ、最近お気に入りみたいで、よく食べてたね。」
「こんなくっそ甘いもの、よく食べるよな。」
まったく同感である。
「で、それがどうかしたんすか?」
「どうもしない。見覚えがあっただけ。」
「なんだ、それだけの話か。」
人騒がせなやつめとため息をつかれてしまう。
「ヒントはあったのか?」
「わかんない。」
「はぁ?」
「だって見比べる相手がいない。わかったことと言えば、部屋の雰囲気が私の部屋とまったく違うということぐらい。」
「「「「え~~~」」」」
がっかりさせて、申し訳ない。