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氷水チャレンジ

「巷ではそう呼ばれておるのぉ。」

「なんだそれ?」


 おじいさん先生がわからない男性陣にかいつまんで説明する。


「へー。そんな病気が……」

「何をしても起きんのじゃよ。」


 おじいさん先生が難しい顔で言ったその一言に私は引っ掛かりを覚える。

 考え込む私にウォルターが気づき、話をふってくる。


「なんか、気になることがあるんすか?」

「……別に。」

「絶対なんかあるだろ。今言わないとあとで質疑応答はなしだぞ。」


 話の腰を折らないようにと思ったのに、私の気遣いはバッサリと切り捨てられた。


 くそぅ。


「ただ、()()()()()起きないって言うのに、違和感を感じただけ。」

「?」


 あれ?伝わってない?


「何をしてもって、何をしたんでしょう。」

「はい?」


 私の質問の意図がわからず、みんなが首をかしげる。


「何をしてもって、例えば具体的には何をしたのかなって。耳元で大きな声を出したり?それとも氷水の入ったバケツをひっくり返してぶっかけたとか?」

「ななな、そんなひどいことをするわけなかろうが。」

「じゃぁ、何をしたんでしょう?どうして()()()()()()()()()と断言できるの?」


 私の疑問にみんなが顔を見合わせる。


「確かにそうだよな。いつもと同じことをしても起きないからってそれが何をしても起きないには繋がらない。」

「まぁ、氷水をかけるのはやりすぎだけどな。」

「なるほどのぉ。」


 だからといって目の前に患者がいるから試そうとか言う気はないけど。


「原因は?前に聞いたときの共通点は貴族のお嬢様ぐらいしかって言ってましたけど。」

「あいつはお嬢様じゃないぞ?」


 さいで。


「じゃあ、初事例?情報が増えた。では、共通点は?」

「そんなの知らん。」

「なんだろう?女性?」

「当たり前すぎじゃないっすか?」

「後は……なにかありますか?」


 話をふられたおじいさん先生は、腕を組みながら必死に考えている。


「うーむ。元々は健康だったとか、そういう当たり前なことでもなさそうだしのぉ。うーむ。」


 だめだな。なにか思い付きそうにもない。


「あの!」

「?」

「部屋の中、入ってもいいですか?」


 もしかしたら何かヒントがあるかもしれない。


「なぜ、俺たちに聞くんだ?」

「だって、部屋の主は寝ていて返事が出来ないから。」


 さすがに勝手には入れない。

 誰かにいいよって言われて、責任転嫁をしたいだけかもしれない。


「まぁ、いいんじゃない?同じ女の子だし、未来の命の恩人になるかもしれないし。」

「俺らが入るよりいいかもな。」


 意外とあっさりとOKをもらえた。

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