【閑話】料理は爆発だ(後編)
「うん。味がない。」
出来上がりのほかほかのこめはぜを一つまみ、口の中に放り込む。
自分で作っておいてなんだが、味もないし食べた気もしない。
のんきに食べていると、アレンに釘を刺される。
「危ないことをしないでください。」
「危なくないですよ。」
そのために米が飛び散らないように袋に入れたんだ。
「これ、どうするの?」
ノアが味がないといいながらも、もう一回こめはぜを口に入れる。
「チョコに混ぜて、クランチにしようと思って。」
そういった瞬間、ソラが距離を詰めてきた。
「ち、近い。説明するからちょっと離れて。」
アレンがソラの襟首を引っ張って回収してくれた。
まったく。
「湯煎したチョコの中にこれをいれて固めるとクランチチョコになるんです。」
説明しながら、ボウルを二つ用意して一つにはお湯を、もう一つには適当に砕いたチョコを入れる。
「本当は包丁とかで刻むんですけど、めんどくさいので割愛します。で、ボウルを重ねてチョコを溶かします。溶けたら、こめはぜを入れる。」
スプーンで適当に混ぜて、バットに流し込む。
出来上がったものをキラキラしためでソラが見つめる。
「で、冷やして一口サイズにきれば出来上がり。」
私が「冷やして」と言った瞬間にソラのテンションが見るからに下がっていく。
そんなにあからさまにがっかりしなくても……
しかし、彼は切り替えが早かった。
すぐになにかを思いついたようで顔をあげると、アレンに詰め寄った。
「な、なんだ?」
「……(じー)」
「もしかして、チョコを冷やせってことなんじゃない?」
「(コクコク)」
「魔法の使い道が間違ってる……」
しかし、間違っていようがなんだろうが、相手はソラなのだ。
クランチチョコを食べるためには、相手が誰だろうと突撃する姿にぶれないなぁと感心する。
アレンがチョコに魔法をかけて固めてくれたことにより、予定より早く出来たクランチチョコを試食することになった。
その頃には、おじさん、おばさんに詰め寄る人達もいなくなっていた。
「ふつーにうまい。」
試食した子犬が言った感想にそれはそうだと思いながら、返事をする。
「だってチョコを溶かして混ぜただけだもん。」
「いや、でもこれ、コメハゼ?を作るのが大変じゃない?」
「それもそうか。」
「だいたい、結構な規模の圧縮の魔法で爆発をおこしてつくるなんて一歩間違えれば大惨事なんですからね。」
よくよく考えればそうかもしれないのだが、機械は作れないので魔法でよくないかな?
え、だめ?
そんなことを思いながらも、神妙な顔をしてお説教を聞く。
しかし、なぜか私の考えはアレンにばれているようで、次々と考えを言い当てられて、説教は長々とつづくのだった。