【閑話】もしもあの時
読んでも読まなくても本編には一切関係ありません。苦手な方はスルーしてください。
もしもあの時、別の選択をしていたら。
「狩り?」
「まぁ、狩りというか魔物退治。」
私の疑問に苦笑いで返したのは副分隊長のノアだった。
「魔物退治に行くの?今から?」
「まぁ、普通なら今日!?ってなるだろうねぇ。」
「実は、他の班が行くはずだったんだが……」
詳しく話してくれたのは、分隊長のアレンだ。
要約すると。
今日、召喚された勇者 大納言 吉宗と騎士 鏡 春人と一緒に第一騎士団の一班(五人)と第二の一班(五人)で合同チームを組み、魔物退治に行くはずだった。
しかし、最初の予定で行くはずだった第二の班が前の予定が押したとかで行けなくなった。そこでうちの班が代打で行くことになった、と。
「さいで。でも、私も行くの?」
役立たずな私がついていっても、足手まといでは?
「大丈夫です。今回は、勇者と騎士の二人の練習なので。」
言われて思い出す。
へたれでびびりな二人は、殺生に抵抗感を持っている。
まぁ、私だって殺す殺されるのない平和な日本で生きてきたので、流石に最初は私だって無理だと思っていた。
実際は、サックリドライに殺れたんだけど。
「つまり、実質的な退治要員ってこと?」
「そうだね。」
なるほど。
「お断りします。私はお留守番で。」
と言うことで、第二の団長であるオリバーの所にお邪魔することになった。
「なんでいかなかったんだ?」
心底不思議と言う顔でオリバーに聞かれた。
「なんでって、絶対トラブルに巻き込まれそうだから。」
「そんなこと……」
「ないとは言えないよ。経験則から言って、絶対トラブルに巻き込まれる気がする。こっちに来てから、トラブルに巻き込まれなかったことがない。」
「そんな簡単にはトラブルなんて」
「大変です。訓練場で乱闘が起こりました。」
話をしているとトラブルが持ち込まれた。
オリバーとルーカスが顔を見合わせている。
ほら言わんこっちゃない。
三人で乱闘が起こった訓練場にいくと男性二人が取っ組み合いのけんかをしていた。
「何してる!」
団長か間に入り、あっという間に団子はほどけた。
「で?何を揉めていたんだ?」
「それは……」
ん?なぜ私をみて二人で顔を見合わせる?
「なに?」
「ギョーザが……」
「は?」
「ギョーザが食べたい!!」
「……?」
ごめんなさい意味がわかりません。
「こいつがちょっと前に食べたって……俺だって食べたいのに……」
「めっちゃ旨かった!!」
また一触即発の雰囲気になる。
「喧嘩の原因、それ?」
「「そう。」」
なんて。
「下らない。」
「そんなこと言うなら、作ってくださいよ!!」
「やだ。ソラか食堂の人に頼んで。」
「あ!いいこと思い付いた。」
嬉しそうに喧嘩していた人が発案しようとするが、面倒な予感しかない。
「却下。」
「聞いて。とりあえず聞いてあげて。」
ルーカスに言われて、しぶしぶ聞くことにすると。
「新しい料理を作ってもらって俺が食べる。あいつは食べれない。どうだ?」
どうだと言われても……しかも、そんなキラキラした目で言われても。
「却下。」
「なんで!!」
「なんでって、私を巻き込まないで!!」
わーぎゃーしている愛奈たちをそとから眺めていたオリバーは、「大なり小なりトラブルに巻き込まれるんだな」と思いながら現状にあきれていた。
そして、魔物の討伐から帰ってきたアレンたちの話によると、特にトラブルは起こらなかったそうな。
お付き合いいただき、ありがとうございました。