【閑話】料理は爆発だ(前編)
アレン視点です。
読んでも読まなくても本編には関係ありません。
ノアと廊下を歩いていると。
「あ、食堂に寄ってかない?」
昼御飯は食べたのに、なにを言い出したのかと思ったが、すぐに察しがついた。
「あぁ、アイナが新メニュー開発会議にかりだされてたな。」
「そうそう。大分嫌そうではあったけど。」
行く行かないの押し問答で嫌そうな顔をしていたが、最後には了承していたアイナを思い出して二人で笑う。
もう少しで食堂に着くというところで、「ボン!」となにかが爆発したかのような音が食堂の中からした。
「「!!」」
なにか危ないことが起こったのかと慌てて食堂に飛び込む。
「大丈夫ですか!」
中には腰を抜かした料理人見習いのマルチーズ君と驚き顔の食堂のおばちゃんことリナさんとおじさんことナルさんだった。
当然のようにいるソラは、場数の関係なのかすぐに普通の顔に戻る。
そして、事の中心人物は、いたずらがばれた子どもみたいな気まずそうな顔をしたあと、愛想笑いを浮かべた。
「とりあえず、説明をしていただけますか?」
お決まりになりつつあるせりふをいうと、アイナは愛想笑いを引っ込めて目を泳がせる。
「……ちょっとした実験を。」
「実験?」
何事かと次々に食堂にやってくる奴らは、ナルさんたちに任せてアイナの話を聞くことにする。
「ちょっとした手違いで~」と説明しているが、料理が爆発するとはどんな手違いなんだ。
「最近お菓子を作ったからそれで、やってみたいことがあって。」
そういって差し出してきたのは、白い粒がはいった細かい網目の袋だった。
「なにこれ?」
「こめはぜ。または、ポン菓子と呼ばれるものです。」
アイナが袋を開けてくれたので、二人で中を覗き込む。
なにを思ったのか、ノアが白い粒を一つつまんで口のなかに放り込む。
……ソラがスゴい勢いでノアを睨んでいるが、ノアは気にしないようだ。
「……味がない。食べた気もしない。」
「味付けしてないからね。」
「これ、なにで出来てるんですか?」
「米です。」
「「米?」」
「米に圧力をかけて一気に解放すると出来ると聞いていたので。」
「聞いていたって、作ったことなかったの?」
「専用の機械がないと……かって食べた事しかないですね。」
「なのに作ったんですか?」
「この前、魔法で圧縮ができたので。」
だから、実験か。
魔法を何に使っているんだか。
「はじめてにしては上出来です。」
満足感たっぷりに言いきるアイナ。
なんとコメントを返したらいいのかわからず、ただちょっぴり嬉しそうな彼女を眺めていた。