クッキー
「あーあ。疲れた。」
自室に戻ってきて肩掛け鞄を机におき、椅子に座ると同時にあたまを机に乗せる。
あのあと、駄々をこねる凛との攻防があった。
半ば引きずりながら帰ってきたのだが、別れ際に「また行こうね」と言われ、もし社交辞令であったとしても(凛のことだから社交辞令ではないと思うが)、私は「そうだね」と同意することができず、またひと悶着あったのだ。
「何か食べたい。」
あまりの疲労感になにかを食べたい衝動に刈られる。
自分でも珍しいと思いながら、あたまを起こす。
頭を使った後や疲労感には甘いものと言うような気がするが、私基準で考えれば特に甘いものは必要ではない。
食堂に行って、ジュースでも入れてこようかな。
思いながら立ち上がった時に、鞄のショルダー部分を引っ掻けてしまった。
パタンと倒れた鞄をみて、凛に付き合わされて買ったフォーチュンクッキーがあることを思い出す。
「そういえば、クッキー買ったっけ。」
鞄のなかからクッキーの包み紙を取り出す。
がさがさと音をたてながら、袋を開けると私の記憶と全く同じフォーチュンクッキーが現れた。
「へー。こっちにも全く同じ形であるんだー。」
召喚された人が過去にいたようだし、不思議ではないのかもしれない。
まぁ、私は向こうでフォーチュンクッキーを食べたことはないがな。
早速、クッキーの間から紙を引っ張り出してクッキーをかじる。
「!!!」
甘っ。なにこれ。砂糖入れすぎじゃない?
しかも、後味薔薇味とかお洒落意識しなくていいから。
ベーっと舌を出してみるが、口の中の味が薄れる事はない。
「やっぱり何か飲みもの取りに行こう。」
包み紙にクッキーを戻し部屋を出る。
よく考えれば、私が作るお菓子は、出来上がりを食べて甘いなと思ったら、少しずつ砂糖を減らしていたのだ。
市販のお菓子より、甘味が遠いものが出来上がっていたのだった。
食堂で発見したリンゴジュースをコップについでいっきに飲む。
全然口の中の味が消えない。
もう一杯コップにジュースをついで部屋に戻る。
机にコップをおき、気を取り直して占いの方をみてみることにした。
「えーっと、なになに?」
紙を広げてみると、小さめの短冊には「消えゆくは 悲しき涙か 泡沫か 知るは闇夜の 星の瞬き」と書かれていた。




