行列 行列
結果、私の休みは興味のない占いに行きたくもない凛と一緒に行くというイベントに消費されることとなった。
前回通りかかった時は、なかった行列が店の前に出来ていた。
「まるでテーマパークのアトラクションの待ち列みたいだな。」
どうやら入場制限もしているようで、お客さんが出てくると、並んでいる人が入っていくようだ。
ちょうどクリーム色のワンピースの女性と紺色のワンピースの女性が紙袋を抱いて出てきた。
入れ替わるように身分の高い人なのか、ベールを被った女性とお付きの人という組み合わせの雰囲気の二人が入店する。
私だってお付きの人なのだが。
「この並んでいる時間がワクワクするね。」
いやいや最後尾についた私と違い、ノリノリな凛がハイテンションで並び始める。
これは、いつまで並ぶんだろうか。
そうは思っていたが意外と順番は早くに回ってきた。
店から出てきたド派手な赤のドレスなお姉さんたちと入れ替わるように入店する。
「わー。さすがファンタジー。めっちゃ可愛いー!」
フリルに埋もれるのではないかと思うような店内をみて、凛が歓声をあげる。
思ったより広い店内で、お嬢さん方が可愛い小物やフリルのクッションなどをキャーキャーいいながらみている。
「どこが占い要素?」
占いの館という割には、占い感がない。
「いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてですか?」
入り口で二人して店内を見回していたので、一見さんだとすぐにばれてしまった。
店員さんに声をかけられる。
丸メガネにお下げにメイド服という某漫画のドジっ娘のような出で立ちだった。
私はさらさら会話をするきはなかったが、すかさず凛が店員に返事を返す。
「可愛いお店ですね。」
「ありがとうございます。当店は女性の味方ですから。」
「そうなんですか?あっ、お店の名前に占いってついてるじゃないですか。占いもしてくれるんですか?」
「占いでしたら、こちらの商品はいかがですか?」
店員さんが見せてくれたのは、小さな紙袋だった。
「何ですか、これ。」
「薄いクッキーに紙が挟まれているものなんです。なかの紙に占いが書いてあるんですよ。」
フォーチュンクッキーか。
「へ~。私の地元にも同じものがありましたよ。買おうかな。愛奈はどうする?」
「別にいらないかな。」
「なにも買わないつもり?せっかくきたんだから、はい。」
問答無用で紙袋は、私の手のひらに乗せられた。
「まあ、一個ぐらいなら。」
「あとはなに買おうかなー。」
店内をみて回り始める凛にため息を付きつつ、付いていこうとすると、店員さんに呼び止められる。