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都合のいいやつ

「ねぇねぇねぇねぇ。聞いた?聞いて?知ってる?話していい?」

「どうどうどう。うるさい。」


 やはり突撃してきた凛はうるさかった。


「新しい店が出来たんだって。」

「らしいね。」

「いきたい!!」

「どうぞ。」


 凛の情熱的なアピールをスルーしつつ、行きたければいけば?と返せば、


「ぶー。こういう時は一緒にいこうって誘うものよ。」


 私を指差さして言いきる凛の指を無理やりしたに押し下げる。


「なんで私が誘わなきゃいけないの?逆に誘われても行かないけど。」

「もう!!友達付き合いは大切にした方がいいよ。」

「はい?」


 何だか聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がする。


「友達?」

「うん。」

「誰が?」

「私と愛奈。」


 このやり取り、前にもしたような?


「あのさ、何度でも言うけど、私と凛は友達じゃないと思う。」

「なんでよ!逆になんだと思ってるのよ!」

「……同郷の知り合い?か、パリピ?」

「知り合いにしてはけっこうな付き合いになるじゃない。しかも、私はそんなにうるさい人じゃないわ。じゃあ、(てる)くんのことはなんだと思ってるの?」

「……救いようのない腐れ縁?」


 あいつのこと、輝くんって呼んでるんだ。

 さすが、パリピ。人との距離の縮め方が半端ないな。


「なんでそうなるのよ。私とは、拳で語り合った仲じゃない!」


 え、語り合ったっけ?

 もし語り合ったとしても、それで何故友達になるのだ。


「昨日の友は今日の敵って言うじゃない。」

「それを言うなら、昨日の敵は今日の友じゃない?」


 それだと裏切られているよ。

 私的にはそのシチュエーションのが馴染みがあるがな。


「と・に・か・く・私はお出掛けしたいの!」

「だから、すれば?てか、私以外にも誘う人いるでしょ?」


 私と違って友達多そうだし。


「だめ?」


 そんな上目使いでキュルキュルとした目でみてもダメなものはだめ。嫌なものはいや。


 っていうか。


「前科もあるしね。」

「え?何の話?」

「ちょっと前に誘拐事件仕組んだのは誰だよ。」

「あー。そんなこともあったね。」

「うっわ。腹立つな。絶対一緒にお出掛けなんてしてやんない。」

「なーんーでー。いーじゃん。一緒にいこーよー。」


 まるでおもちゃ売場の前で、おもちゃを買って貰えず、床に転がりじたばたする子どもみたいだ。


 いつまでもこの押し問答に付き合うのは疲れると、結局折れる私は、都合のいいやつと思われているのではなかろうか。

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