アイスキャンディ、いかがですか?
あのあと、やはり説教タイムがあったが、一件落着した。
なんやかんやあったが、丸く収まった。と、思う。
犯人も捕まったし、こってり絞られたし……うん。
ほのぼの日常が帰ってきた。
そして、太陽の季節、夏がやってきた。
色々あったがいまだに続いている護身術もろもろを習ったあと、さすがに真夏に外での運動はきついと日陰に避難する。
「あっつー。」
暑くなり、半袖ブラウスにベストとなった上をパタパタしながら風を起こす。
あー、タオルを首から下げたい。
髪の毛をバレッタで止めて上げているが、暑いのは変わらない。
「はしたないよー。」
注意をする元気もないと言った感じでノアに注意される。
ノアたちもYシャツにベストだが、長袖なのでうでまくりしている。
「でも、お嬢はあんまり暑そうな顔してないっすよね。」
「そう?」
「涼しそうな顔をしてるな。」
「そんなことないと思うけど……暑苦しい顔はしてないと思う。」
松岡◯造的な。
「暑苦しい顔ってどんな顔だよ。」
「えー、なんか顔の圧が強かったり、暑苦しい人だったり、行動が熱い人いるじゃん。」
「あー。なんとなくわかる。」
「そう言えば、ベッコウアメと元気水の売れ行きいいらしいね。」
「そうみたいですね。」
夏向けに提案した商品が売り出されたのだ。
べっこう飴は、塩を散らした飴で商品名はそのまま「ベッコウアメ」となった。
経口補水液は、こちらの人には発音が難しいようで、他の名前をつけることになり、何故か「元気水」になってしまった。解せぬ。
アイスキャンディに至っては、氷魔法が使える人が少なく設定価格が高めなので、貴族様向けで売っている。売り上げは上々である。
「ね~、アイスキャンディ作ってよ。」
「分長に頼めばいいじゃないですか。」
あの人、氷魔法得意だし。
「えー、アレンが作ってくれるわけないよ。」
「そんなこと言ったら殺されるっす。」
「上司に頼めるわけないだろ。」
三者三様の返事が返ってきた。
「そんなこと言うなら差し入れはなしだな。」
声のしたほうを振り返ると、アレンがアイスキャンディをもって立っていた。
「あ、アイスだ。」
「アイナとリアム、ほら。溶ける前に。」
「えー、ずるいっす。俺らのは」
「今の会話で貰えると思った?」
楽しそうな会話を聞きながら、アイスキャンディを食べる。
暑い中で、しかも運動後に食べるアイスは最高である。
欲を言えば、私はおーもち、もーちもちが好きであるが、さすがにあれは再現できなかった。