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エネルギー消費の少ないほうで

 長い長いため息をつき終わると、不安そうな顔で凛が聞いてきた。


「怒ってる?」

「……怒ってない。」

「ほ、ほんと?ホントにほんとで怒ってない?」

「怒ってはいない。」

「よかったぁ!!」


 凛は、心底ほっとしたようで、ぱっと笑顔になり、隣の明輝に話しかける。


「良かったね。怒ってないって。」


 しかし、明輝のほうは、眉を下げて難しい顔をする。


「……なんで?」

「なにが?」

「なんで、怒らないんだよ?」

「え?怒ってほしかったの?」


 うわー。そんなこと思ってたの?ドン引きだわ。

 ん?ちょっと待てよ?なんだか氷の帝王再びな雰囲気が隣から漂ってくるんですけど。

 これは、返答次第で説教タイムに突入するかも。


「べ、別に怒ってほしかった訳じゃなくて……なんで怒らないのかなと思って。普通怒るだろ?」

「そうかもしれないけど……怒るってさ、疲れるじゃん。それに、めんどくさい。」

「め、めんどくさい?」


 私の言葉に明輝は驚き、アレン班のメンバーは、やっぱりみたいな顔をしている。


「うん。第一、お前に色々やられたのを思い返せば、両手の指じゃ全っ然足りないくらいやられたけど、私がお前に本気でキレたのなんて片手の指で余裕で足りるでしょ。」


 細かく言えば、席替えで隣同士になって、色々あって堪忍袋の緒がキレて明輝の机を破壊したのと、掃除の時間に同じくキレて箒を振り回したのと二回だ。


 他にも学校内でキレたことはあるが、明輝に対してというか明輝が関わっていての事案はそれだけのはずだ。


「最近知ったんだけどさ。怒るってことは、その人のことを何かしら思ってるからするんだって。あとは、自分にふりかかって来る場合ね。私が思うにお前に何らかの思いはあれど別にエネルギーを使ってつかれてまですることじゃない。」


 むしろもったいない。私の気力が。


 言われた明輝がショックみたいな顔をしている。

 なんでショックを受けてるの?まじで、怒られたかった訳?


 たまたま振り返ったら、ウォルターと目があった。


 なんでウォルターは、かわいそうなやつを見る顔をしているのかわからない。


「わ、私のことは?」

「凛は今までの様子を考えるに言っても意味がないような気がするから。」


 あきらめたと伝えれば、今までのご機嫌が一変して泣きそうな顔になる。


「私のこと、見捨てるの?」

「別に見捨ててない……見捨ててたら、あそこで時間稼ぎなんかしなかったし。」

「え?いつの話?」

「人質ごっこ。」

「あれ、時間稼ぎだったの!!本気かと思った。」

「失礼な。」


 私をそんなひどいやつだと思っていたのか。

 じゃあやっぱり、諦めていいな。


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