夕焼け小焼けで日が暮れて
「へー。」
「ほ、ホントだよ。知らないんだってば。」
「ほー。」
「ね、ねぇ?」
「そうだよ。お前らがあそこを通ったのも、俺があそこを通ったのも偶然だ!!」
「偶然ねぇ。」
そこまで偶然が重なるなんて、あり得ないだろう。
しかも、目を泳がせながら必死に否定しているのが、自分を疑ってくださいと言っているようにしか思えない。
チラリと隣をみれば、アレンとノアも疑惑の目を向けている。
「で?ホントのところは?」
「……」
わかる~。分が悪くなると黙るよね。
その気持ち、すごくよくわかるよ。
私の場合は、分が悪くなるときもあるけど、どーでもよくなるってときのが多いけど。
でも、許しません。
「黙るなよ。ずるいよな、黙っとけばなんとかなるって思ってる?認めたのと一緒だよ。」
私の言葉に明輝の視線がさ迷う。
こいつ全然わかってないな。
いつだったか、お前が私に言った台詞だぞ。
よく、いじめた側は覚えてないって言うけど、ほんとに腹が立つな。
じとーっと二人を見ていると、沈黙に耐え兼ねた凛が口を開く。
「わ、私は、ただちょっとした提案をしただけで、実際にやったのはこの子だから。私は、関係ないからね!!」
「はぁ?お前が協力するから、やりなさいよ!ってノリノリで言ってきたんじゃないか!」
「ちょっ、人のせいにしないでくれる?提案して、ちょっと手伝ってあげたじゃない。」
「それが、原因だっていってんだろ。俺はそこまでやらなくてもいいと思ってたのに。」
「なによ。あなただってやる気満々だったじゃない。」
うわっ。喧嘩というか罪の擦り付け合いが始まっちゃった。
ギャーギャーと言い合う二人を冷めた気分で眺めるが、全然終わりそうにない水掛け論を止めに入ることにする。
「二人とも、ちょっと黙ろうか。」
ピタリと言い合いが止まったけど、周りの他の人も黙ってしまったのは何故だろう。
まぁ、いいや。話を進めよう。
「つまり、凛が明輝をけしかけて、協力までした偽の誘拐事件っていうか、自作自演をしようとしたけど、本当になっちゃったって、理解でOK?」
二人の話していた内容を総合して要約すると、そんな感じかと確認すれば、あからさまに気まずそうな顔をする二人。
いい加減にしろよ、まじで。
やるなら二人でやれよ。
私を巻き込むんじゃない。
そんな気持ちを全て込めて、私は長い長いため息ついて、空を見上げた。
あぁ、夕焼けが綺麗だ。