火炙りの刑は遠慮します
放たれた炎は、外れることなくオオカミもどきに当たったのだが……
「うがぁ!」
燃えながら暴れるオオカミ。
火力が足りてないため一発で死なず、もがき苦しんでいる。
「あっつ!!」
そして一番近くにいた私への被害が半端ない。
オオカミもどきが動くたび、熱風と火の粉がこちらにくるのだ。
「やるならちゃんと一発で仕留めろよ。拷問か!!」
「うっ。」
私の突っ込こみに何を想像したのか、もちが吐きそうになっている。
「もう!あっつい!!」
ゴロゴロ転がるオオカミもどきに魔法で水をぶっかけて雷を落とす。
「うがっ……」
火は一瞬にして鎮火され、感電死である。
さて、次はと振り返ると沢山の次の方が待ち構えていた。
こんなに捌くのか。
「あーもう!!」
とりあえず飛びかかってこられないようにシャボン玉を飛ばす。
前回の「シャボン爆弾」と「シャボングレネード」以外にも過冷却を参考にシャボンがぶつかった瞬間に固くなる「物理的シャボン」と割れるとガムみたいに張り付く「シャボンガム」も考え出した。
あとは、シャボンのなかに匂いを詰めた「匂袋」もある。これに関しては動物相手にしか効きそうにないなと思っていたところだ。
色々な種類のシャボンを飛ばす。
魔物たちは、そのまま突っ込んでこようとしてシャボン玉に当たり、悲鳴を上げて後ずさっている。
毎度の事ながら、子供だましみたいなものなので、それほどダメージを与えることは出来ないが時間稼ぎができる。
そして隙間からこちらにでてこようとするやつを殺ればいいのだ。
スピードもでてないし、本当に多少だがダメージありで出てくる。
「それっ。」
そうなれば私だって役に立つのだ。
何匹かやったところで魔物たちもがむしゃらに突っ込んでくることをやめ、様子をみるようになった。
チャンス。
この隙に魔物があふれでてくる所に雷魔法をぶちこむ。
そのとき、落雷と地響きと共にパリン、と何かが割れるような音がしたような気がする。
「おい。なにやってんだ!」
驚いたのだろう。雷の一番近くにいた第一の若手が抗議の声をあげる。
「あそこから補充の魔物が出てくる!」
怒号に負けず言い返した時、別のところから鋭い声が飛んできた。
「危ない!!」
なにが?思ったが直ぐに事態を把握した私は、その光景に動きが止まる。
オオカミもどきがシャボン玉を飛び越して私に向かってきていたのだ。