やはり、身長が大事です?
明輝視点です。
まさか、真剣を持ち出してくるとは思わなかった。
トーナメント会場から出てきて、独り言をこぼしながら安堵のため息をこぼす。
死ぬかもしれないとビビりまくっていたが、何とかとめてもらえてよかった。
一安心しながら歩いていると目の前に愛奈が現れた。
あまりにも驚き過ぎて指を指せば、不機嫌に叩かれる。
焦る俺に何かを言いかけたかと思えば、かなり酷いことを言われる。
死ぬかと思ったやつになんてことを言うんだ。
抗議すれば、そっけない返事が返ってくる。
愛奈と言い合っているとふと、イケメンと目があった。
何かと問えば、愛奈のこの顔を久々にみたと返事がくる。
は?これがデフォだろ。
昔は直ぐ顔に出る方だったけど……いや、呆れられたり、なんだりの表情はこっちにきてからみた気もするが。
無愛想が基本なやつはなんだ。
デレてほしいのに一向にデレてくれないツンだ。
色々考えながら、改めて愛奈の周りの奴らをみる。
なんか、イケメンが増えてる?
『なんでイケメンが増えてんだよ!』
「知らない。」
『やっぱり、イケメンがいいのか?』
「話す必要を感じない。」
『はあ?お前のこと心配してやってんのになんだよ、それ?』
「お前に心配される筋合いはない。てか、何をどう心配しているのかがわからない。」
ついつい興奮して、日本語で叫んでしまう。
最近、色々言葉を覚えてきたが、咄嗟のときは日本語が出てしまう。
しかも、愛奈からはなに言ってるのかわからないし、真面目に答える気もないと丸わかりな返事がきた。
すると後ろのイケメンが愛奈とをつつく。
なんだ?と愛奈と見上げれば、爽やかな笑顔で笑いかけられる。
なんだ、この敗北感。
自分の顔がちょっと人相が余り良くない方だと思うが、悪くはないと思っている。どっちかと言うと可愛い系だ。
やっぱり、身長か?身長があればいいのか?
かっこいいと言えば、身長なのか?
頭の中でぐるぐる考えている間に目の前には誰もいなくなっていた。
「は!!誰もいない!!」
ちーん。
落ち込んでいると、女が声をかけてきた。
「ねぇ、今の子に振り向いてほしいんでしょ?」
「ばっ、なに言って」
「じゃあさ、一つ良いこと教えてあげる。」
女はとても嬉しそうに笑ったのだ。