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ちっぽけなプライド

ちょっと、短めです。

 試合が始まり、持ち前の運動神経で繰り出される模擬刀を交わしていく明輝だったが、一度頬を剣が掠めた時、赤い筋が引かれた。


「あれ?本物でやってましたっけ?」


 今までは刃を潰された模擬刀だったと思ったが、勘違いかと隣のアレンを見れば、難しい顔をしている。


「いや、真剣での勝負は禁止されています。」

「じゃあ……」


 視線を戻せば、明輝の顔は焦っていた。

 そしてもう一度、今度は、左腕を掠める。


 その瞬間、相手が笑ったようだった。


「たまにいるんだよね。真剣持ち出すやつ。」


 飽きれ顔でノアが呟く。


「へー。なんで?」

「新入りが自分達より出来るのが嫌だとか、まあ、色々思うところがあるんじゃない?」

「なるほど。」

「なんで、そんなに落ち着いてんの?」


 リアムが険しい顔で尋ねてきた。


「んー、もしこれがやられてるのがあいつ以外なら私だって眉間にシワを寄せたり、怒ったかもしれないけど……これまでのことを考えるとやられればいいと思う。一方的にやられるということがどういうことなのか知った方がいいと思うし。なんていうか、社会勉強みたいな感じ?」

「命がけで、壮絶な社会勉強だな、それ。」

「それに準ずることをあいつはしてきたんだから、今度はやられる番なんだよ。てか、プライドズタぼろになって、どん底を味わった方がいいと思う。」


 何処までいっても平坦な気持ちで眺めていると、スタッフらしき人が止めに入った。


「あっ、止められちゃった。」

「ちょっと残念そうに言わないでくださいっす。」


 実は本気でちょっと残念だった。

 もう少しこてんぱんにやられればよかったのに。


 ウォルターたちと軽口を言い合っているときに、後ろでアレンが複雑な顔をしていたなんて、私は知らなかった。

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