卵運び競走
卵運びって、ただ単にお玉に卵のせて運ぶただけだよね?
組み合わせが悪かったって、足の早い人とあたったってことだよね?
そう思っているのに、何故かグラウンドには、右側と左側に各20人ぐらいずつわかれている。
その後ろにお玉を持っていない人も同じぐらいの人数がいる。
「は?卵運びですよね?」
「卵運びだよ?」
いやいや、当たり前じゃないみたいな顔でいうなや。
なんか、想像と違うんですけど。
「さー、始まりますよ!卵運び!先ずはルールを説明します。ルールは簡単。今いる場所から反対側の線まで卵を落とさないように運ぶだけ!落とした瞬間に失格です。運びきった人には三点入ります。また、自分以外の人が持つ卵を割れば、一点加算されます。得点が一番高かった人が優勝です!魔法は使ってはいけませんよー。」
えー、なにそのルール。簡単じゃなくね?
「ちなみに後ろにいる、予選落ちした人が得点計算係だよ。」
あっ、だから、同じぐらいの人数が後ろに控えているわけか。
よくよく見れば、ウォルターがいる。その後ろにリアムが控えていた。
「阿鼻叫喚の地獄絵図の予感しかしない。」
「白熱して面白いのに……」
私の感想に近くにいた男の人がぽそりとこぼす。
あー。私、スポーツ観戦とかまっっったく興味がないんですよ。
頑張れー!みたいな声は、惰性でしかかけないし、試合をみて何を興奮しているのかわからない。
てか、「頑張れ」って言葉が余り好きではないんだよな。言っちゃうけどさ。
頑張って、頑張って、もうだめだと思ったときに、言われると私はまだ頑張らなきゃいけないの?って思うよね。
でも、応援されたら、頑張らなきゃって思っちゃうじゃん。
だから、頑張れが好きじゃない。
そんな感慨に耽っていると、どうやらスタート準備が整ったようであった。
「それでは準備はいいですか?位置について、よーい、スタート!!」
両側から一斉に選手が反対側めがけて走っていくが、自分以外みんな敵なのだ。
ぶつかっていったり、飛び蹴りしたりと入り乱れている。
そして、飛び交う生卵。
「卵を守りつつ攻撃する人が多い……」
守備のみに回る人は余りおらず、ガンガン攻めるぜ!!の人が多い。
しかも。
「入り乱れすぎてよくわからん。」
もう、こうなったら乱闘である。
これは、勝敗がつくのか?
卵を割られてしまった人が次々と離脱していく。
だめだ。この競技の良さがまったくわからない……