色ちがい出現イベント
てか、あの声、聞き覚えがあるような……
記憶を手繰ろうとした瞬間、森の奥から熊がでてきた。
デジャブ?
立ち上がると二メートルぐらいある熊。目が赤色。
「雪グマ?の色ちがいバージョン?」
そう。その熊は普通に茶色だった。
しかも隣には黒色もいて、熊たちの足元にはオオカミみたいなやつとかキツネみたいなやつとか、とにかくバリエーションが多彩だった。
「囲まれたぞ!!」
その言葉に視線を走らせれば確かに木々の間からも光る目があった。
まじか。
「ちっ。どうなってんだ。」
「喋ってないでやるぞ。」
と、話しているものの咆哮を聞いて腰を抜かしている二人を守りながらやるのは大変じゃないか?
「アイナは二人と一緒にいてください。」
アレンに言われ、真ん中でへたりこむ二人に駆け寄る。
自分の力量は分かっているため、素直に従うことにする。
「もぉムリだ。死ぬんだ。」
「ふぇーん、死にたくないよぉ。」
頭を抱えて震える小豆ともち。
まぁ、余分なことをしないだけいいのか?
うーん、自分の身は自分で守ろうよ。いいのかそれで?
「あんころ餅になってろ。」
「ふえ?」
二人が私の悪態に半泣き顔を向けてきたが無視。
とりあえず、軽量化版の剣を抜きなんとなく自衛することにした。
10人もプロが居たらあっという間に駆逐出きるかと思ったが、数が全然減っていない。
よくよく考えるとおかしくないか。
突然ふってわいてきた魔物。
数が減らない魔物。
しかも、カラーバリエーションまで豊富だし。
今までのトラブル遭遇率から考えるとこれも通常ではあり得ないことが起きているのかもしれない。
「と、言うことは……」
何か原因があるはず。
飛び散る血飛沫と積み上がる魔物の死体と入り乱れる生きているものの合間から魔物の動きを眺めていると、ある一ヶ所から次々と魔物が溢れていることに気がついた。
あそこか。
原因の一端がわかったと誰かに伝えようとキョロキョロと回りを見渡した時、目の前にオオカミっぽいやつが立ちふさがった。
で、最初に戻るのだが。
どうする?私にやれるか?
動きが素早さそうなやつを相手する自信などないに決まっている。
だからといって、後ろの二人は役にたちそうにない。
だったら、やっぱり私がどうにか……
「いやーーー!!」
「こっちにくるなぁぁぁあ!!」
女子より女子らしい悲鳴を上げて、パニックになる後ろの二人。
「うるさい、黙れ!!」
私の注意は遅かった。
悲鳴を聞いてオオカミもどきは、標的を後ろの二人に変えた。
「ちっ。」
まっすぐ二人を襲いに行くオオカミもどきはやはり素早くて私なんかでは対応しきれない。
そして、よりパニックになった小豆がオオカミもどきに向かって火魔法を放ったのだ。