普通がいい……
それからは穏やかな日常が過ごせるかと思ったが、そうはいかないのが日常である。
「さぁ、今日という日がやって参りました。年に一度の競技大会です!!」
「「うぉーーー!!」」
このノリについていけず、ポカーンとみることしか出来ない。
そう。今日は競技大会で、競技場には沢山の人が入っている。
予選を勝ち抜いた選手で行われる決勝戦である。
私の出る競技は、予選がなかったのでぶっつけ本番なのだ。
そして、私の出る競技は障害物競走なのだが……
「では、ルールを説明します。まずスターとしたら網を潜っていきます。」
普通だ。
「次に平均台を渡ります。」
ふーん。普通の平均台……じゃないな。
階段を上って渡るってなんだよ。高すぎんだろ。
それに降りるときはなんで階段なしなんだ。おかしいだろ。
「そして、袋が置いてあるので、それをはいて指定のラインまで進みます。」
おお、普通に戻った。
たぶん小さめの袋で腰辺りまでしかはけないんだよね。
そして、ピョンピョン飛びながら進む感じだよね。
「最後、リンゴを握りつぶしてゴールです。」
はぁ??なに、リンゴを握りつぶすって。
「出来ない方は、魔法でつぶしてもいいでーす。」
ありがたいけど、リンゴを潰す必要性を感じないのだが。
説明が終われば、先頭のチームからスタートする。
私は四グループ目なのだが、エントリーされた人が、いかついお兄さんか小柄なお兄さんしかいないのはなぜだろう。
やっぱり、足の遅い人が出てるのかな。
私も足は早くないし、こういう競技にしか出たことがない。
だから、網をくぐるかもと思って、髪型をいつものハーフアップではなく、向こうの世界で365日していた耳した二つ縛りにしてきたのだ。
暑いし髪の毛が引っ掛かるといやだったから。
あっという間に順番がきて、スタート位置につく。
「それでは、四グループ、位置について、よーい、スタート!」
「さぁ、一斉にスタートしました!おっと、一人で遅れた人がいます。あれは第二のアイナ選手ですね。その間に他の選手は、網にたどり着きました。」
スタートの時点で出遅れたが、障害物ならあんまりスタート時の順番は関係ないはずだ。
「あー。他の選手が持ち上げた網の間をするするとアイナ選手が進んでいく。あっという間に抜かされてしまったー。しかし、同じように小柄な第三の選手も難なく進んでいく。」
網をくぐり終える頃には私は二番になっていた。
そのまま階段を登り、平均台を歩いていく。