もういっぺんやってみろ!!
私たちが話をしていると明輝が此方にずんずんと歩いてきて、私の目の前に来るなり叫んだ。
『お前、なんで俺を助けた!』
『は?助けろって言ったじゃん。』
『お前なんか大嫌いなんだよ。助けてもらわなくたって自分で何とかできたんだからな。』
意味分からん。
『じゃあ、もう一回自分でなんとかしてみろよ。』
頭にきた私は、明輝の腕をつかみそのまま崖のほうへ引っ張る。
『なんだよ!放せ!!』
明輝が喚いていたが無視して崖のギリギリまでいく。
そして、手を離した。
『おい!!』
「なに?」
『危ないだろ!』
『お前が離せっていったんだろ?』
『だからってここで離すなよ。』
『自分でなんとかできるんでしょ?』
『……』
さっき豪語してたしね。
『お前……そんなに俺のこと嫌いか?』
『嫌いだねぇ。顔をみるだけで吐き気がする……ってか吐く。』
そのまま崖の方を向いてしゃがみこみ吐く……が、出てくるのは胃液ばかり。
「ちょっと、大丈夫?」
ノアが飛んできて、背中をさすってくれる。
「だめだ。き゛も゛ち゛わ゛る゛い゛。」
隣でワナワナと震える明輝が視界に入る。
『そうかよ。そんなに俺のことが嫌いか!!だったら……』
死んでやる?
『死んでしまえ!』
その言葉をいった瞬間、いつの間にか近くにいた凛が明輝をビンタする。
『あんた最低ね!いくら好きな子が振り向いてくれないからってそれはないわ!!』
はい?
『ばっ。なにいってんだお前。』
明輝が顔を真っ赤にして抗議をする。
『好きなこに助けられて恥ずかしいのも分かるけど、言い方が間違ってるわ!』
『だから、いつ俺がこいつのことを好きだっていった?』
『言わなくたってみてれば、わかるわよ。』
あー、違うと思うよ。
『もしもし?違うと思うよ。嫌いだから無視するってタイプじゃなくて、嫌いだから徹底的に追い出すタイプだもん。』
『……本気で言ってる?』
もちろん。凛の思考回路はどうも、恋愛によりすぎてるんだよ。
なんでもかんでも恋愛に繋げようとするのをやめようよ。
凛はわざとらしくため息をつき、明輝は肩を落としている。
『これはなかなか手強いわよ。』
『だ、だから違うっていってんだろ!』
また喧嘩が始まってしまった。
「二人は何を言い争っているんですか?」
隣にやってきたアレンに聞かれる。
そういえばと周りを見渡してみれば、いつの間にか詐欺集団は捕まり、カルーは情報提供者として事情を聞かれている。
「よくわからん。」
「え、話していたんじゃなかったんですか?それともそんなに難しい話を?」
「難しくはないけれど、私は理解するのが難しいかもしれない。」
私でもなに言っているのかよくわからないことになってしまい、アレンとノアが首をかしげた。