トラブルは突然やってくる
だいたい、私たちが普段食べているものだって命を頂いているのだ。
この魔物たちも、食用に出きるものはされている。
それに、放置しておいたら数が増え、奥に住んでいるもっと強いやつがエサを求めて出てきてしまった方のが大変なのである。
無益な殺生ではないのだ。
「必要なことでしょ?」
話していると小豆ちゃんの方はノルマをクリアしたようだ。
ちなみに、私たちがのんきに話している理由は、明らかなる戦力過多なため、戦闘参加は最初は素人三人だった。
まぁ、私は直ぐにノルマを達成してしまったのだ。
「もうちょっと奥まで行かないと仕事とになりませんよぉ!!」
第一の一番若かそうな人が抗議の声をあげる。
たぶん、小豆ちゃんと同じくらい。
「確かになぁ。しかし、素人さんがいるから余り無茶なことはできんだろ。」
明らかにバカにしているのは分かるが、真っ当な意見でもある。
こんな入り口でいつまでも足止めされていても、他の人たちは「何しに来たんだ」と思うのが当たり前だろう。
しかし、第一と第二はあまり仲がよろしくない。
最近は表だって何かあるわけではないが(私と聖女である浜島 凛が友達だと思われているため)、ここで仲裁に入って話がややこしくなるのは避けたい。
「そうですね。皆さんみたいなプロかいるんです。もう少し進んだからと行って、すぐ僕たちが足を引っ張ることはないと思います。先に進みましょう。」
先を促したのは、小豆ちゃんだった。
「ほら、勇者さまもこう言ってることだし。」
自分の意見が通り嬉しそうに歩きだす若者。
第一の分隊さんがちらりとアレンをみる。
アレンは肩をすくめる。
進んでいく若者についてみんなで移動していく。
もちは、悔しそうに唇を噛んでいる。
「悔しいならさっさと殺ればいいのに。」
私の呟きにウォルターが聞き返してくる。
「いま、なんて?」
「なんでもない。」
人には得手不得手がある。
出来ないことを強要するのは良くないからな。
しばらく歩いていくと、出てくる魔物のレベルや種類、数がかわり始めた。
たぶん、私たち素人がいなければ、もっと簡単に進めるのだろう。
しかし私たちのフォローをしつつとなると、戦いにくいのだろう。
現に第一の若手二人はイライラしながら剣を振っている。
一段落したところで、第一の副分隊長さんから「フォーメーションを考えませんか」と提案される。
話し合いをするならちょっと戻ろうかと言っているときだった。
急に耳を塞ぎたくなるような大きな咆哮がした。
一斉に木に止まっていた鳥たちも飛び立っていく。
「な、なんだ?」
疑問を浮かべる若者と逃げ腰組をよそに、他のメンバーは辺りを警戒する。