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一纏めにされた総意

 ナイスタイミングと喜んだのもつかの間、直ぐに次の行動がナイスじゃないことに気がついた。


 もしかして何時ものあれがくる?


「アイナー。最近会えなくて寂しかったわ!」

「むぎゅう。」


 ここんとこ、増えた魔物の討伐に駆り出されてたからね、あなたの班。


 毎度お馴染みのバグタイムから逃れようとするが、いつもより速いタイミングで解放される。


「あら?」

「あれ?」


 お互いに違和感を感じて顔を見合わせる。


「アイナ、あなた……ご飯たべてる?」

「またそのはなし?」

「私が話すのははじめてだけど……抱き心地がよくないわ。」


 なにその熊のぬいぐるみ的なコメント。


「しらん。」

「何か用があったんじゃないんですか?」

「そうそう。それがね。」


 レティシアが語ったのは、やはり明輝たちの話だった。

 ホワイトグループは、はじめは無料で仕事を受けていた。ただ、そのなかには心付けを渡す人もいたようだ。

 そして、そのうち有料でお金を取るようになった。

 命を懸けて仕事をしているんだからと、その値段はどんどん上がっていき、今では取り立てにもくるらしい。個人情報を書かせていたのはこのためだったようだ。

 で、たまたま討伐時、立ち会っていた人にも金をせびっている、との話だった。


「ヤの付く方々的な話だね。悪徳業者みたい。」

「うまい話には裏があるって事だね。」

「あと、魔物の数が増えていたり、襲われたりするのもホワイト一味が仕掛けているんじゃないかって噂だわ。」

「え、あの魔道具の話?」

「自分達で用意して、自分達で討伐して、お金を集める。まぁ、手っ取り早い話ではありますね。」

「命懸けよね。」

「ハイリスクすぎ。それだけ美味しい思いが出きるのかも知れないけど。私はそんなハイリスクな話には乗らないな。」


 そこまで話してふと疑問に思う。


「それって最初から計画済みってことだよね?」

「でしょうね。じゃなきゃ短時間でここまで値段のつり上げや魔道具の調達はできないわ。」

「だよね……」

「なにか気になることでも?」


 気になるっていうか、なんというか……


「?」

「……総意なのかなって。」

「総意ってどういう意味っすか?」

「だから、ホワイトの人たちは“全員”はじめからこの計画を知っていたのかなって。」

「そりゃ知ってるでしょ。計画性を感じるもの。」

「こっちの言葉がわかんないやつも?」

「あ、そうか。」

「自称勇者はたぶん落ち人だから……言葉かわからない。」

「もし、理解してなくて利用されているのなら……」

「アイナ!!」

「うぉっ。」


 突然、またバグタイムに突入したらしい。

 レティシアに抱きつかれた。


「なんて優しい子なの!」

「ちょっ、離して。」

「同郷の子を心配なんすね。」

「いいこ、いいこー。」

「もう!!レティは勘違いしてる。」

「勘違い?」

「別にあいつが利用されていようが騙されていようが私には関係のない話なの。むしろ、ボロ雑巾の様に使われて、最後には使い捨てられればいいと思ってる。」

「容赦ないな。」

「でも、他にも騙されている人がいるようなら、どうにかしなきゃいけないんじゃないかなーと。それも業務の一環なのかな、と。」


 私のコメントに何故かニマニマと笑うレティシア。


「なに?」

「素直じゃないなーって。彼が心配なら心配って言えばいいのにー。」


 え、本気で違うよ。

 これ以上ややこしくなって巻き込まれるのが嫌だからっていう心配なら合ってるけど。


 どうやら、誤解は直ぐ解けた。

 私が能面みたいな無表情になったらしく、全員が一瞬にして理解してくれた。


 良かった、良かった。

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